終活・生前整理 掲載

生前整理とは何か:想定外のトラブルを防ぐための知恵と対策

本人の希望を叶えることのできる生前整理を行いましょうという情報は多いものの、遺品整理や老前整理との違いが解説されていることは少ないように感じます。今回は、言葉の意味や注意点を簡単にご紹介します。
お片付け後の和室の様子
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※生前整理について、簡単に把握されたい方は「終活:今さら聞けない「終活って何?」を3分でシンプルに理解する」をご覧ください。

「ウチは大丈夫」が危険な考え方かもしれない。

私たちには、日々さまざまな方から、さまざまなご相談をいただきます。

私たちは、お片付けの専門企業ですが、お片付けに関わるその周辺の相続や貴重品や美術品、生活架電家具の買取などさまざまな業務をご依頼いただくことがあります。

中でも、生前整理についてのお問い合わせは近年需要がとても高まっているように感じます。

時折ご連絡いただくお客様の中には「ウチは大丈夫だって思っていたけど、お父さんが亡くなってから姉妹でウソみたいに揉めてしまって大変です・・・」というご相談をいただくこともあります。

これはあくまでも経験上のお話ですが、一般の方が降って沸いたようにトラブルに巻き込まれてしまうケースは多いように感じます。

なぜなら、財産をお持ちの方は生前から弁護士や司法書士さんといった士業の方ともコミュニケーションを取っていらっしゃる方が少なくないからです。また、銀行から家族信託についても生前に話をしているケースもあったりします。

しかし、一般的に家族で弁護士さんや司法書士さんと生前からお付き合いしていることは稀ですし、ひいきにしている銀行の担当者が存在するケースも少ないはずです。

そのため、有事の際にいきなり問題が現れて一気に家族関係が悪化するということも、他人事ではないのかもしれません。

今回は、想定外のトラブルを未然に防ぐため、生前整理についての内容と注意点についてまとめました。

生前整理とは何か。

生前整理とは、自分自身が亡くなった後にご遺族となるご家族やご親族に対して、相続や遺産に関わるトラブルや負担をかけることがないよう、あらかじめ自分自身で整理しておくことです。

生前整理の主語は、自分の死に向き合っているご本人ということになります。

対して、遺品整理の主語は、残されたご家族やご兄弟となります。

そして、お片付けを提供する業者によって、遺品整理の対義語あるいは類義語として表現されることが一般的になってきました。

なお、私たちが確認したところでは明確な生前整理の定義はなく、法律的にもこのような言葉が使われているわけではないようです。

言葉が商いに使われて一人歩きしていくうちに、少しずつ意味が変容することはよくあることかもしれませんが、基本的には、生前整理はお部屋のお片付けだとお考えいただいて間違いないはずです。

次に、業者によってよく使われている言葉との関係を見てみます。

生前整理と終活の違い

終活は死と向き合うことによって、最期まで自分らしく過ごすための準備を行うことです。

自分らしく過ごすための準備を行うという意味で、生前整理は終活の1つに位置付けられると言えます。

終活が、相続や遺産、遺言といったおおまかな身の回りの整理を総合して指すのとは違い、生前整理は、主にお部屋の片付け、ご本人が住んでいるご自宅の中を片付けることを指す場合が多いように感じます。

すなわち、生前整理は、主に自分の生活する環境を、自分自身の考えに沿って物理的に整理(お片付け)することと言えるでしょう。

遺品整理と生前整理の違い

遺品整理がご家族やご親族によって行われるものであるとすると、生前整理は自分自身で考え、自分の意思で整理を行うことであることが遺品整理との決定的な違いです。

くわしくは「生前整理と遺品整理はどこが違うのですか。」でもご紹介しています。

また、ご家族が終活や生前整理を行って欲しいと考えて会話に出す場合には、決して「遺品整理」というような言葉を使わないようにしたいところです。

遺品整理という言葉そのものに良いイメージがないという方もいらっしゃるからです。

遺品整理も生前整理も本質的には「お部屋やお家のお片付け」です。そのため、ご家族との会話では単にお片付けと表現するのが良いでしょう。

👉相続や終活の話題を自分の親にどうやって話すか

生前整理とそのほかの言葉の関係

生前整理に類する言葉は、生前整理や遺品整理という言葉のほかにもたくさん見かけます。

業者によって「老前整理」や入所前の整理を「福祉整理」と呼んでいるところもあるようです。

ここまでくるとほぼ言葉遊びの様相を呈してきますね。

言葉遊びになることなく、理解するためのポイントは「時系列」です。

生前整理・老前整理・遺品整理の違い
生前整理・老前整理・遺品整理の違い

時系列で見る生前整理

生前整理は、図のように生きている間にご本人が、自分の意思や権利を死語に反映させるための整理であると考えることができます。

生前整理は生前、つまり生きていてなおかつ健康な状況でご本人の意思で行うものです。
そして、ご本人の死後、家族に負担をかけることなく、ご自身の希望を反映できるように片付けることです。

また、健康で高い判断力があるうちに整理を始めることができるため、ご自身の権利を正しく主張するような場合にも生前整理という言葉が使われている場合もあるようです。

ご自身の希望を着実に反映するためには、エンディングノートなどではなく法的な拘束力を持つ、公正証書遺言を書いておくと安心です。

民放第961条によると満15歳以上であれば作ることが可能とされているため、生前整理は15歳から健康な生活ができる年齢まで幅広く行うことができると言えるでしょう。

👉終活:今さら聞けない「終活って何?」を3分でシンプルに理解する

時系列で見る老前整理と生前整理

老前整理は、図のように高齢になってきたご本人や、そのご家族が家族の負担を減らして、ご本人が施設などで老後を快適に過ごすことができるように整理することと考えることができます。

老前整理は、文字通り「老前」とあるように高齢となる前に行う整理という考え方です。

老前整理という言葉を私たちはあまり使ってきませんでしたが、最近はよく見かけるようになってきました。

とくに生前整理に対して、老前整理は加齢によって施設に入所する場合などのケースを指して言われることが多いように感じます。

老前整理は施設へ入所する前に老後の生活で必要なものや、施設の生活で必要なもの以外を整理する作業を指します。

時系列で見る遺品整理と生前整理

遺品整理は、図のようにご本人が亡くなられた後に、残された家族や親族が亡くなった方の住んでおられた住居や部屋の片付けを行うことです。

亡くなられた方のものを片付ける作業が遺品整理となるため、残されたご家族だけで片付けることは非常に難しく、業者に依頼しなければならないとご相談いただくことも多くなります。

また、遺品整理は、悲しいことに状況によって特殊清掃が必要なケースなどもあります。

以上の意味から自分の意思を反映させたり、トラブルになって手遅れになることのないよう、生前整理を行っておくことで安心した老後を迎えられるという文脈で広く認知されてきていると言えるのです。

もしも、生前整理や老前整理を行えていたら、トラブルを回避することができたかもしれないと、後悔しないように事前にお考えいただくのが良いのかもしれません。

生前整理を行う場合の具体的な方法

生前整理を行う場合に考えたい具体的な方法はケースバイケースであることが多くなります。

まず始めてみたいとお考えの方にとって知っておいていただきたいポイントは「賢く終活している人がやっている「やることリスト10項目」をご覧ください。

生前整理を行う場合の注意点

生前整理を行う場合に注意しておきたいことは、自分の意思を着実に反映させられるかどうかです。

自分の意思を着実に反映させるためにやっておきたいことは、きちんとした遺言書(いわゆる公正証書遺言)を書いておくことです。

情報を整理するためにエンディングノートなどを書くのはとても良い方法ですが、予見できるトラブルがある場合や、不足の事態を避けるためには、やはり公正証書遺言を相談しながら書いておくのが良いと言えるでしょう。

私たちにご依頼いただくお客様には、相続や遺言書などについての専門家をご紹介するなどして、ご依頼主の方やご家族と一緒に課題を解決しています。

業者に依頼する場合に注意したいこと

生前整理をご自身で行わない場合には、生前整理を業者に依頼する場合もあるかもしれません。

そこで、業者へ依頼する場合に注意しておきたいことをお伝えします。

まず、最初に悪徳業者の存在です。令和になった現在でも悪徳業者での被害が絶えないと言われています。

悪徳業者による不当な請求を避けるためには、以下の記事をご一読いただくと良いかもしれません。

加えて、2021年現在、遺品整理や生前整理にはいわゆる「業法」が存在しません。

また、遺品整理や生前整理に関する資格は民間資格であり国家資格ではありません

そのため、これまでの実績やどのような方が作業に来ていただけるのかを事前に相見積もりを行うことで解決できます。

大切な我が家に業者を入れることになるわけですから、価格などの表面的な部分で判断しないようにしたいところです。

妥協なくさまざまな情報を総合して、自分にとってもっとも良いと感じる業者へ依頼するようにしましょう。

まとめ

今回は生前整理について、主にその内容と遺品整理や老前整理との違い、そして具体的な方法や注意点をご紹介してきました。

これまで見てきたように、想定外のトラブルを未然に防ぐための知恵というのが終活や生前整理の本質かもしれません。

そして、最後にお伝えしたいのが「生前整理は無理をして行うものではない」ということです。

現代では、自宅ではなく、病院や施設で一生を終える方も増えており、私たちは死というものを遠ざけて見ないふりをしてきました。

死を遠ざけてきた現代で、生前整理は自分の死と向き合う、気の進まない作業になってしまうという方もいらっしゃるでしょう。

インターネット上には、半ば脅迫のような記事も多かったりしますが、それらは記事を書いた業者が他社ではなく自分のところに生前整理や相続の作業を依頼してもらいたいから、脅すような文章で書かれているかもしれないという視点は常に持っておかれると良いでしょう。

あくまでも生前整理などといったお片付けを行うのは、個人の意思であり、最大限に尊重すべきなのは、家族であれ業者であれ同じです。

ご自身が大切なものや、具体的な意思を生前から考えることはとても重要なことなのですが、負担になるような場合には、生前整理を無理に進める必要はないかもしれません。

この記事が、生前整理についてお悩みの方への一助となれば幸いです。

最後までお読みくださいましてありがとうございました。