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遺品整理士とは:業者に頼む前に知りたい資格や免許の関係性

遺品整理サービスは、無免許・無資格でも参入や開業が出来てしまいます。しかし、遺品整理士やこれに関する資格や免許は必要となり、また関係法令の熟知も求められます。遺品整理士という仕事が広がる背景と、その理由を資格や免許の関係性を交えてご紹介します。
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遺品整理士とは何か

遺品整理士とは、北海道千歳市にある一般社団法人「遺品整理士認定協会」が定める民間資格です。

遺品整理士認定協会の講座を受講することで、遺品整理を事業者として代行する際に必要な取扱い手順や関係する法令の知識を持ち、規則を遵守するための方法論を身につけ、遺品整理サービスの内容を十分に理解し、供養や廃棄物・リサイクル品などを取り扱う際の法規制を学びます。

加えて、具体的な実務での心構えや注意すべき点についても言及があり、遺品整理サービスを提供する業界の健全化のために、どのように行動すべきかについても理解することが出来ます。

遺品整理士資格を持つ人は全国に2万人以上。法人会員は863社です。(いずれも2018年12月)

遺品整理士の受講資格

遺品整理士になるために、特別な受講資格はなく(反社会的勢力に該当する人間は受講不可)、申し込み後に届く教本・資料集・問題集・DVDにて受講後、問題集に沿ったレポートを遺品整理士認定協会に届けた後、合否(問題集の正答率が基準を上回るかどうか)の通知が行われ、合格の場合に認定証書を受け取ることが出来ます。(いわゆる通信講座に似た形)

受講料は25,000円で認定手続きを含む会費は5,000円。

受講期間は目安として2ヶ月となっています。

参考:遺品整理士認定協会HP「受講申し込み

遺品整理士になる目的は遺品整理をサービスとして提供する事業者に対して一定の説得力を持てることに加え、遺品整理サービスについての正しい知識や理解を促すという遺品整理士認定協会の理念も背景にあるのです。

以上でご紹介したように遺品整理士の資格取得には門戸が大きく開かれているものの、法的な拘束力があるわけではなく、また「遺品整理業法」のようなものも存在しないため、取締りや罰則が定められているわけではありません。

これこそが、遺品整理サービスは、無免許・無資格でも参入や開業ができる根拠なのです。

遺品整理士が行うこと

遺品整理士が行う仕事には、残されたご遺品の仕分け、不用品の適切な回収・処理といった内容に加え、買取・リサイクルやご供養や整理の後の簡易清掃も含まれます。

基本的な業務以外にも、整理後のリフォームやハウスクリーニング、不動産の仲介などの業務を依頼することができる業者もあります。

当社では、これらに加え弁護士さん、税理士さん、司法書士さんといった法務関係の専門家と連携し、相続などについてのご相談を承っています。

遺品整理と付随する仕事については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

家の片付けだけではない:どんな依頼でも対応できる業者の仕組み

遺品整理士以外の資格や団体

世間に広く認知されている遺品整理士以外にも、類似した団体は存在します。

今後も増える可能性はございますが、現在ウェブサイトなどを確認できる団体をまとめました。

  • 一般社団法人 日本遺品整理協会(神奈川県)
  • 一般社団法人 生前整理普及協会(愛知県)
    • 生前整理アドバイザー
    • 生前整理診断士
  • 一般社団法人 日本生前整理総合コンサルタント協会(東京都)
    • 生前整理アシスタント
    • 生前整理コンサルタント
    • 生前整理コンサルタントマスター

遺品整理士に必要な免許や資格

冒頭で、遺品整理サービスを始めるには免許や資格は必要ないとお伝えしました。

しかしながら、ご遺品の買取やリサイクルなど、特定の分野では許認可も必要になります。

今回ご紹介している遺品整理士に加えて、古物商許可証や廃棄物の収集についての許可です。

古物商許可証は、ご遺品の買取や中古品の売買にあたり必要ですし、ゴミの収集・運搬・処分にあたり、廃棄物収集運搬許可証も必要となります。家庭ゴミの場合は一般廃棄物収集運搬許可証(ただし、許可を所持している業者への委託でも事業を行うことが出来ます)

遺品整理士が必要とされる背景

遺品整理は「形見分け」などとも呼ばれ、従前から遺族によって行われてきました。

江戸時代中期(1760年ごろ)から150編以上が刊行された川柳の句集である『誹風柳多留はいふうやなぎだる』には「泣く泣くもよい方を取る形見分け(あるいは『泣き泣き〜』)」という句が登場します(他にも「泣きながら眼(まなこ)をくばる形見分け」)

当時貴重品だった着物を泣きながら、目ざとく良い方を取ろうとする浅ましさを表した句のようです。

150編以上も刊行された大人気の句集であったことから「形見分け」という言葉が江戸時代中期以降には広く認知されていたことがわかります。

しかし、使い捨ての文化や物が飽和した現代においては、当時とは異なり、遺品整理や形見分けにも現代ならではの視点が必要となってきました。

核家族が珍しくなくなり、超高齢社会の到来と、少子化、晩婚化といった流れから、現代の社会や経済の状況が遺品整理サービスの需要の急増につながったと言えるのです。

超高齢社会では、ご遺族も高齢な場合が多く、自分自身で遺品整理を行いたいと考えていても、体力などの理由で止むを得ず業者に依頼するケースが多いのです。

加えて、個人が賃貸物件にお住いの場合には、部屋をすぐに明け渡す必要も出てきます。

一方で、遺品整理サービスをについてのトラブルや不法投棄なども問題となっています。

国も実態の調査に乗り出している

遺品整理に関係する法律は多く、遺品整理士の講座でも多くの関係法令について触れられています。

関係する法令が多いからこそ、業者には法令の遵守が求められます。

これこそが遺品整理士が必要とされている理由なのです。

以上の背景から国も実態調査に乗り出しており、2018年9月〜2020年3月まで総務省行政評価局による「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査」が行われました。

報告書では明確な定義が、制度的に、あるいは、社会的に固まっていない段階にあると言えるとし、消費者庁、環境省、国家公安委員会、経済産業省、国土交通省、独立行政法人国民生活センターに加えて41の市町村と、遺品整理サービス事業の関係団体2社、遺品整理サービス事業者69社に対して調査した結果をまとめています。

この中で、遺品整理サービスを提供する業者は2009年以降に始めた事業者が多いことや、具体的な内情に踏み込んで調査が行われています。

逆の視点で見れば、国が調査に乗り出すほど、発展している業界であり、そこに内包する問題も多いことがわかります。

今後、こうした調査を元に様々な議論が行われる可能性があり、依頼する人たちにとって、より安心なサービスが提供されることを祈っています。

あなたが依頼しようとしている業者は、あなたの気持ちを理解しているか

遺品整理士になる方が増加する背景には、高まるばかりの遺品整理や生前整理といったお部屋のお片づけへの需要があることをお伝えしてきました。

私たちも遺品整理や施設に入居する前の整理だけではなく、特殊清掃や空き家の整理、など多岐にわたるご依頼をいただきます。

仮に、自分自身で遺品整理を行おうとした時、自治体のゴミの回収やリサイクルセンターなどの利用については交通手段や曜日・時間帯といった制約が付きまといます。

あなた自身が、どれだけ自分で遺品整理を行いたいと考えていたとしても、遠方に実家があったり、多忙な場合や、体力的に困難なケースもあることでしょう。加えて親族と疎遠であるといった理由もあるかもしれません。

こうした課題を解決するため、止むを得ず私たちに依頼されるというお客様は非常に多いと感じます。

つまり、自分でやるべきだと思っていても、様々な制約や課題を背景に、業者に頼まざるを得ないのです。

このようなあなたの苦渋な決断とも言える判断をきちんと理解してくれる業者は全国にどれだけいるのでしょうか

依頼する上で重要なことは遺品整理士であるだけではなく、その遺品整理士の中で、あなたの気持ちを理解した上で課題を解決してくれる業者や人なのです。

結局、最も重要なのはあなたが頼みたいと思える業者かどうか

インターネットを利用して今まで限られた範囲の人間しか知り得なかった情報も急速に民主化しています。

インターネット検索を利用することで、様々な情報に触れることが出来ます。

遺品整理士についてもそれは同じことでしょう。

様々な情報に触れるに従って、不安になる気持ちも大きくなるのではないでしょうか。

最終的に、あなたが頼みたいと思える業者かどうかを判断するためには、実際に候補となる業者に、一括見積もりサービスなどではなく、直接相談を持ちかけてみることです。

遺品整理士についてご紹介しましたが、必ずしも遺品整理士資格を持っているからといってあなたの課題を満足に解決できる業者とは言えません。

弁護士に相続専門とか、企業専門などといった得意分野があるように、遺品整理士もまた、その出自になどによって得意分野は異なります。

あなたの気持ちと課題を解決してくれる業者に巡り合うために、この記事が少しでも役立てば幸いです。

また、横浜ベスト遺品整理社ではお部屋のお片づけの品質について、皆様からのご意見を反映し日々より良いサービスの醸成に努めています。

お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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