実家・自宅のお片づけ 掲載

実家のバリアフリー化リフォームで安全な住環境にするメリット

実家の整理に合わせて住宅を快適な生活環境にするため「バリアフリー化」のためのリフォームをご依頼いただくことがあります。今回はメリットの多い実家のバリアフリー化についてご紹介します。
階段を登る女性の画像
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築数十年を超えていたとしても、ご実家は家族にとってとても大切な空間です。

とくにお父様にとって自分が建てた大切な実家で永く生活したいと思うのは当然のことでしょう。

しかしながら、加齢と共に生活空間には配慮が必要となるケースが多々あります。

転倒して大腿骨骨折などの大けがとなれば、リハビリが必要となるだけではなく、日常生活に支障をきたしてしまうかもしれません。

私たちの元にも、終活の一環で、実家を生前整理する際に、手摺を取り付けるなどのリフォームをお考えの方が少なくありません。

今回は、ご自宅のバリアフリー化に関して考えておくべき内容をまとめました。

実家を整理し、快適な環境にするために

内閣府が発表した「平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」によれば完治が見込めない病気になった場合に最後を迎える場所の希望は、「自宅」が 51.0%で最も多く、 次いで「病院・介護療養型医療施設」(31.4%)。「特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの福祉施設」が 7.5%、「サービス付き高齢者向け住宅」が 3.0%の順で、自宅がもっとも多数という結果になりました。

年齢が高くなるほど「自宅」と答える比率が高くなるようです。

さらに、同調査による居住年数の問いに対しては、現在の住まいに31年以上居住していると答える人が51.1%ともっとも多いことがわかりました。

それだけ、実家は安寧を維持できる場所と言えるでしょう。

一方で、数十年前に設計された住宅はバリアフリーのノウハウが反映されたものとは言いづらく、高齢となった方の居住空間として不適切である場合が少なくありません。

もちろん、実家を清潔かつ整頓された空間にすることは事故を防ぐ上で重要なことではありますが、生活な環境の維持だけではなく、住環境の見直しが必要な場合もあります。

住環境の見直しとして有力な選択肢となるのが実家のバリアフリー化です。

バリアフリー化のポイントは「安全な住環境の整備」

安全な住環境を整備するという点で自宅のお片付けとリフォームは共通の視点を持っています。

実際、先にご紹介した調査では将来の住居に不安を感じている人に、不安の具体的な内容を聞いたところ、最も多いのは「虚弱化したときの住居の構造」(27.3%)で、「世話をしてくれる人の存在」(23.0%)、「住居の修繕費等必要な経費を払えなくなる」(22.8%)が続くとされています。

維持費などの費用面に関心を持つ方も多いものの、もっとも大きな関心事は住居の構造にあると言えそうです。

確かに数十年以上経過した住居は経年変化により、古くなって傷んでいるところがあったり、段差や階段などの住宅の構造が高齢者にとっては使いにくくなっている可能性があります。

さらに2世代で済むことを前提にして実家が設計されていることも多く、住宅が広すぎるというケースもあることでしょう。

災害を防ぎ、対処するためにリフォームでメリットを享受する

バリアフリー化を行う理由としては、負担なく生活できる環境を準備し、ケガをしない住環境を整備するポイントが挙げられます。

以前、進まない実家のお片づけは「防災」を理由にすると上手くいくにてご紹介しましたが、生活時間のもっとも長い自宅や実家では、災害に遭遇する可能性も必然的に高まります。

バリアフリー化を目的とした住環境の改善に取り組むことで、生活環境が見直され、快適に生活と災害予防の両立が可能となるかもしれません。

以上の理由を総合的に解決するために、部分的なリフォームは費用負担が少ない上で大きな効果を生む可能性があり、費用対効果としては敵面な場合も少なくありません。

バリアフリーにできるところはこんなにたくさん。

普段何気なく生活している生活空間にもバリアフリーにできる箇所がとても多く潜んでいます。

よくよく考え、高齢者の気持ちになれば理解できることではありますが、子供世代が若いうちにこうしたポイントを想像し、自分のこととして理解するのはとても難しいのかもしれません。

具体的に自宅周辺でバリアフリー化できるところはとてもたくさん潜んでいるのです。

  • 手すりの設置
  • 滑りにくい材質の床や通路の整備
  • 床や通路の段差解消
  • 通路の拡幅
  • 防犯設備や緊急時の通報装置を設置する
  • 引き戸を扉に取り替える
  • 和式便所を洋式便所へ
  • 浴槽を入りやすい形式に変更する
  • 流しや洗面台、台所のコンロを安全なものに取り替える
  • 寝室とトイレの位置など間取りを大幅に変更する
  • 浴室やトイレに暖房装置を設置する
  • 住居から行動に出るまでのバリアフリー化
  • 介護車の駐車スペースを確保するために敷地の一部を確保
  • 介護しやすい間取りへのリノベーション
  • 車いすで動ける動線の確保

バリアフリー化のポイントは「動線」

先の調査によれば「今後も現在の住まいに住み続けるために必要な改修」の箇所についての質問があります。

今後現在の住居にすみ続けるために必要な改修の内容は、「手すりを設置する」(35.0%)が最も高く、「床や通路面の段差解消」(19.1%)、「浴槽を入りやすいものへ取り変える」(13.6%)、「ブザーの設置など防犯設備や緊急通報のための装置を設置する」(13.6%)、と続く。何らかの改修が必要を考えている人は53.5%、「住み続ける予定はない」は3.2%。

手すりの設置や床や路面の段差解消など、動線に関連する内容が多くを占めます。

実家のバリアフリー化は快適な住環境の整備であり、快適な住環境の整備には「動線」が重要なポイントとなります

ご自宅やご実家のバリアフリー化を考える場合には、ぜひ動線に注目してみてください。

バリアフリー化の工事は補助金や固定資産税控除の対象となることがある。

手すりなどの設置や、住宅のバリアフリー化の工事には補助金の対象となるケースや、固定資産税が減額される場合もあります。

補助金は、介護保険制度によって、一定の条件をみたいした介護リフォームに対して支給されます。

要支援1〜2・要介護1〜5に認定されている場合、20万円(支給限度基準額の9割、18万円)まで支給していただけます。

くわしくは「介護保険における住宅改修」をご覧ください。

原則として補助金の給付は1度きりですが、介護の度合いが3段階以上の上昇した場合や転居した場合には再度基準額が設定されるとのことです。

また、補助金の利用は支給される20万円のうち、数回に分けて利用することもできます。

介護保険による住宅改修を申請する際の流れ

介護保険による住宅改修は以下の流れで申請を行います。

  1. 住宅改修についてケアマネージャーなどに相談します。
  2. 申請書類を提出します
    支給申請書・住宅改修が必要な理由・工事費見積書・完成予定がわかる図
  3. 工事前の承認申請と承認を受ける
  4. 施工
  5. 住宅改修費の決定(補助金の支給申請)
    工事終了後の領収書などを提出し、正式な支給申請を完了させます。
  6. 補助金支給

以上の流れで、提出された書類と工事の実績を確認し、認められた場合に住宅改修費が支給されます。

申請書などは市町村のHPにてダウンロードが可能です(横浜市「各種申請関係:介護保険住宅改修費について」)

また、ケアマネージャーさんに依頼することで紹介していただけるケースもあるかもしれません。

バリアフリー化によって固定資産税が減額されるケースも

そのほか、自治体によっては、固定資産税が減額されるケースもあります。

たとえば、町田市の場合、特定の条件を満たす場合には固定資産税の3分の1が減額されます(町田市のバリアフリー回収特別控除について

自治体によって助成制度は異なります。お住まいの市町村にお問い合わせいただくと有益な情報が聞けるかもしれません。

実家のバリアフリー工事に必要な期間

実家のバリアフリーにはまとまった時間が必要なケースもあります。

私たちの経験では多くの場合、数日から1週間程度でリフォーム工事は完了する場合が多いように感じます。

トイレやお風呂場のバリアフリー化であれば、1週間以内に終わることが多いでしょう。

しかし、複数の部屋にまたがるような大規模なリフォームの場合、まとまった期間が必要となる可能性も否定できません。

バリアフリーのためのリフォーム工事を行なっている最中はホテルや賃貸に一時入居する必要があることもあります。

信頼できる業者に相談し、期間と費用をしっかりと打ち合わせた上で、作業に臨む必要があります。

まとめ

今回は自宅や実家の住居のバリアフリー化についてご紹介しました。

ポイントとなるのは既存住居の動線や問題点を高齢者の身になって想像するだけではなく「理解」し、具体的な対処法を考えることと言えるでしょう。

ずっと実家で暮らしたいと考えていらっしゃるご家族のために、清潔で整頓されバリアフリーな住環境の整備が、快適な生活の一助となることでしょう。

私たち横浜ベスト遺品整理社でも生前整理などをきっかけとしたリフォームのご相談を数多くいただいております。

これまでの知見をお客様に還元できる機会があればこんなに嬉しいことはありません。

当記事が住宅で生活されるご両親の生活環境改善のきっかけとなれば幸いです。

最後までお読みくださいましてありがとうございました。