実家・自宅のお片づけ 掲載

都市部で増加する賃貸物件のお片づけ・遺品整理の期限と注意点

東京23区とその近郊で増加する賃貸物件についての遺品整理。賃貸借契約による明け渡しの期限や家賃支払い、状況によっては特殊清掃が必要なケースなど場合に応じて期限内に負担なく終えるための方法をご紹介します。
遺品整理後の公営住宅
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当社にご依頼の件数のうち実に4割を占める賃貸物件の整理について、全てを把握してスムーズに進められる方は非常に少ないのではないでしょうか。

都市部で特に増加傾向にある賃貸物件のお片づけ(遺品整理)を期限内にスムーズに終えるために、ご家族がやっておくべきことをまとめました。

賃貸物件での遺品整理については、公営住宅や一般の賃貸住宅の退去期限などを考えると、おおよそ「1〜3ヶ月」が目安となります(理由は後述します)

日毎にコストがかかる賃貸物件の性格上、1〜3ヶ月以内に、

  1. 家賃など賃貸物件に関する期限を確認
  2. 賃貸物件のお片づけ(遺品整理)
  3. 原状回復や清掃
  4. 明け渡し(退去の立会い・鍵の返却)
  5. 敷金がある場合には清算

以上の流れで、各種手続きを行う必要に迫られます。

なお、今回ご紹介する内容は、あくまでも退去期限や、相続税の申告期限といった契約や法的な期限が存在する場合についてのご紹介です。

持ち家や分譲マンションようなケースでは、ご家族で今後について話し合った上で、最適な方法を検討してから進めるのが良いでしょう。

加えてインターネットの記事では頻繁に「四十九日の後から遺品整理に向けて動きましょう」というような無責任なオススメが散見されますが、精神的にショックな出来事の後に、人生で初めて経験するような手続きが数多く待ち受けていることが多く、そんなに早く動けるケースがない場合が多いのが現実なのです。

期限が存在しない場合や、ある程度ご家族で区切りや落ち着くことができるまで、業者を選んだり、じっくりと今後について思案されることを強く、強くお勧めいたします。

例えば、賃貸の物件にご家族やご親族が入居され、お亡くなりになった場合、最低限以下のような手続きが必要になります。

なお、より具体的な整理の手順については「実家の片付けの2ヶ月前からやっておくべきこと全手順」にもご案内しています。

賃貸物件の整理には期限がある

賃貸物件の整理については、明確な期限が存在することがほとんどです。

賃貸物件に関する期限とは、大まかに言えば、相続税の申告期限と物件の退去期限ということになるでしょう。

賃貸物件こそ注意が必要な相続手続き

通常、遺品整理を行うと、相続人が相続することを認めたことになる、とされています。

相続手続きは、場合によってその方法が大きく異なります。

例えば、条件付きではありますが、孤独死など緊急に退去や現状復帰が必要なケースでは相続手続きの前に遺品整理と特殊清掃を行えるケースも存在します。

「うちに大きな財産がないから」と仰る方も多いのですが、家賃や固定費が無駄に引き落とされたりしないよう、資産の全貌を把握することは非常に重要です。

加えて、遺産の全体像を把握するためには、銀行口座以外にも有価証券や権利証などの確認も必要となり、これらは、遺品整理を行なっている最中に書類として発見されることもしばしばです。

遺産の全貌を把握するために、遺品整理は重要な関連性を持つと言えるでしょう。

特に、孤独死迎えられたなどのケースでない限り、相続問題が解決できなければ賃貸物件に手をつけることができないと考えるのが一般的です。

相続税の申告期限は10ヶ月以内

相続税の申告期限は法律により「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月」と定められており、期限内に申告書を作成して手続きを行う必要があります。

相続税の申告書は財産の評価が決定できないケースでは作成が難しくなることが多く、これに加えて遺産の分割が決まらないとなると、困難を極めます。

当社では、相続税については専門家と連携して対応しています。

ただし、依頼する遺品整理業者によってご対応いただけないケースもあるため、ご家族(相続人)が税理士さんなどの専門家に依頼する必要があることに注意しましょう。

賃貸借契約書の確認ポイントは退去日とお金のこと

次に、一般に相続税の申告よりも先に期限が迫る賃貸物件の退去についてです。

賃貸物件を契約する場合には賃貸借契約を結んで入居していることから、当然、貸主と借主の間に契約が存在します。

賃貸借契約書の内容に基づいて明け渡しの日を把握し、家賃等の兼ね合いから退去日を目指して逆算した計画を立てると良いでしょう。

主に確認するポイントと内容は、以下のような項目です。

  • 家賃の支払い
    未払いの状況や支払日・支払い方法について。
  • 保証人の有無
    連帯保証人が存在する場合、ご家族(相続人)以外になっていないかどうか。
  • 退去日
    退去日がすでに設定されていないか。退去日を指定できるケースでは違約金やいつにするか。
  • 解約・違約金
    2年契約など契約期間が定められていないか。また違約金の設定がされていないか。

入居している方が亡くなると賃貸物件の解約を行うのが一般的です。

1年未満での解約には違約金が必要だったり、2年契約などの契約期間が定められているケース、退去日を自由に決められる物件でも退去日までの家賃の計算方法など、お金に関する疑問や問題が生じます。

加えて家賃の支払い状況によっては、すぐに退去を求められるケースもあり、不動産会社への確認が必要になります。

概ね1〜3ヶ月の根拠

冒頭で、3ヶ月が一つの目安になるとお伝えしました。

1〜3ヶ月とお伝えした根拠は、公営住宅(市営・県営・公務員住宅)、民間の賃貸住宅や社宅について一般的に退去までの期限についてのルールが存在するためです。

公営住宅のケース

まず、公営住宅についてですが、おおよそ退去する10〜30日前に退去届を提出する必要があります。

例えば、横浜市住宅供給公社の場合、退去日の10日前までに指定管理者事務所に住宅変換届を提出する必要があります(駐車場については、変換予定日の1ヶ月前まで)

また、公社住宅の場合、一般的に一般賃貸は15日前、特優賃・高優賃は退去日の30日前に退去届を提出する必要があります。

この時、契約者の死亡の確認ができるもの(除籍謄本・死亡診断書の写し)と契約者と代理人の関係がわかる書類(戸籍謄本)が必要になるようです。

詳しくは、管理する住宅供給公社等に確認を行いましょう。

加えて、公営住宅の場合には、住宅の返還にあたり、退去する住宅ついて、検査を行う必要があることがほとんどです。

検査は、住宅返還届や退去届に記載された期日に基づき、退去者や家族の立会のもと、職員が検査したのちに、修繕業者が費用の算定を行います。

退去時には、契約者による負担で、畳の表替えやふすま・障子の張替え等が必要になるケースが一般的です。

それだけではなく、民間管理の住宅よりも住宅の使用状況のチェックが厳しかったり、その他の修繕費用が発生することもありますので、十分に注意しましょう。

民間管理の賃貸住宅のケース

次に、民間の賃貸住宅についてです。

民間の運営する賃貸住宅には「告知期間」が存在するため、正当な退去の事由が管理者や大家さんに存在する場合に6ヶ月前に告知し退去を告知することができます(ただし、積極的な意味で「半年は出ないで良い」と考えるのは早計です)

入居者が亡くなったという理由だけですぐに退去させられるかというと、場合によって見解が分かれます。

入居者が亡くなった場合でも、家賃が継続して支払われているようなケースでは、即刻退去とならないのが普通ですが、不幸にも孤独死を迎えられたケース等では早急な対応が急務になります。

また、家賃滞納があるケースや孤独死、ゴミ屋敷といったケースでは、即日退去を求められることもあります。

家賃は3ヶ月滞納が一つの目安となり、公営・民間問わず支払いがない場合には即日退去の対象となると考えて良いでしょう。

加えて、ゴミ屋敷や孤独死を迎えられたケースでは、不動産価値を守るためにも、管理する大家さんにも相当の負担が強いられますので、即日清掃と退去を言い渡される可能性があると言えます。

冒頭でご紹介した「遺品整理をしても相続とみなされない」という条件は、大家さんや近隣の方の迷惑になるような場合に、財産保存の前に、原状復帰のための特殊清掃や遺品整理が急務であることが理由の一つとなっています。

とは言え、家賃は日に日に発生していきますし、退去に関する金銭的な負担も無視できません。

いずれの場合にも、負担を最小限に抑えるため、なるべく早めに結論を出されるのが良いかと思います。

退去日の設定は慎重に。

ここまでご紹介してきた通り、賃貸物件には具体的な退去日の設定と、該当する退去日までにお片づけ等を行う必要があることについてご紹介しました。

当然のことですが、退去日を設定すれば、その退去日までに全ての手続きと作業を終わらせておかなくてはなりません。

このため、相続、遺品整理、退去という一連の流れをスムーズに完結させるためには、事前に必要な手続きと作業、必要な費用を明確にした上で計画することが必要不可欠です。

実際には、不動産管理の会社に連絡した上で、相続などの専門家と協議し、お部屋の物品のお片づけを行うという流れとなります。

より具体的な賃貸物件のお片づけについて

ここまで、1〜3ヶ月の期間で退去まで完了させる上での注意点を含めご紹介してきました。

次に、より具体的なお片づけについてご紹介します。

最も重要なのは、これまでにご紹介した通り、退去期限日ということになるでしょう。

この時、ご家族だけで片付けを行うのは現実的ではないケースが多いように感じていますし、また、こうしたご依頼をいただくケースはとても多い印象です。

明確な期限を設定して退去せざるを得ない賃貸物件のお部屋の整理については、遺品整理の業者への依頼で解決できる可能性が高いと言えますし、またこのような事例を経験している遺品整理業者がほとんどです。

信頼できる業者を探すポイントは「遺品整理業者の見積もりで失敗しない方法(結論:制服と電話です)」にてご紹介しておりますので参考にしていただければと思います。

退去日に関する手続きは煩雑なケースも見受けられますので、遺品整理業者の知見を借りながら、不動産会社や公社などと打ち合わせを行いましょう。この時、地域密着の遺品整理業者などであれば、以前にも同じケースを担当している確率も高くなりますから、より具体的なアドバイスを得ることができるでしょう。

不動産オーナー・管理会社にとっての賃貸物件の整理について

ここまで、主に賃貸物件を借りる側である入居者とその家族についての視点でご紹介してきましたが、こうした問題に日々直面されているのが不動産のオーナーや管理会社の皆さんではないでしょうか。

空き家だけではなく、一人で生活されている高齢の方の増加も、大きな問題となってきています。

全人口に対して65歳以上の人口の比率を高齢化率と呼び、7%以上14%未満を高齢化社会と言います。

日本が高齢化社会と言われるようになったのは、1970年。1995年には14%を超え高齢社会となり、2010年には高齢化率21%以上の「超高齢社会」となりました。

加えて、少子化と生涯未婚率の上昇が追い打ちをかけるように、高齢者の人口が急激に増加傾向にあることが、数十年前では問題として表出してこなかった問題が、2010年以降社会問題化しています。

特に東京23区や横浜市などといった関東一円の都市部では影響が顕著です。

最近は東京や横浜といった都市部での高齢者の一人暮らしも多く、孤独死が不動産価値に影響する事故物件に直結するという観点で危機感を感じておられる方もおられます。

例として、孤独死の現場を考えてみます。

孤独死等では事件性の有無が重要となります。

ポストに郵便物が溜まっていたり、近隣の方からの苦情で発覚するケースもあるようです。

発見後、通常は警察への通報により死体検案書の作成を行い、親族が判明しない場合には警察が捜し出して連絡する流れになるようです。

事件性が疑われる場合には現場検証などを行うため、警察による立入を制限されるケースもあることから、周辺の住民も事件があったことを認識する事態となります。

また、事件性がなくとも、連帯保証人が存在する場合には、当該の保証人に対応を求めることもできますが、連帯保証人が被相続人ではないケースでは、相続の関連もあり、すぐに手をつけることができず、大家さんやオーナーの負担となるケースも見受けられます。

また、ご遺族に原状回復費用を請求する方法も検討できるでしょうが、全額の負担を求めるのは難しいと言わざるを得ません。

さらに原状回復作業後でも、事故物件となった場合には3〜5年程度は事故物件であることを入居希望者に告知する必要があり、家賃も減額せざるを得ないでしょう(事件や事故以外にも、自然死で発見が遅れ、特殊清掃やリフォームが必要だった場合には告知が必要というケースが多いようです)

不測の事態を避けるために、共用部の清掃など大家さん自身が物件に足を運び、入居者とのコミュニケーションや異変を察知できるようにしたり、入居者に対して賃貸住宅に関する費用の補償についての保険に加入していただくのも選択肢の一つとして考えておかれるのも良いでしょう。

まとめ

今回は期限の迫る賃貸物件の退去について期限と注意点に焦点を当ててご紹介しました。

抜本的な解決は、何と言っても家族間でのつながりや社会的なつながりを持ち、一人で暮らす方に対してサポートを行うこと以外にありません。

しかしながら、様々な事情で意図せず期限の迫るお片づけや手続きに直面される方が多いのは事実です。

不測の事態には、何よりも現状を相談する人を見つけることが必要です。

信頼できる業者とは「なんでも相談できる」と感じるような、あなたに寄り添い的確なアドバイスを与えてくれる業者です。

賃貸物件のお片づけを課題としてお考えの方にとって、今回の内容がお役に立てれば幸甚です。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。