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遺品整理とピアノ:大切なピアノはどう処分したら良いのか

遺品整理で重くて大きなピアノは、お困りごとのひとつです。家族が大切にしてきたピアノを雑に扱いたくないという気持ちと、ちゃんと売れるのか、どうやって運び出すのかお悩みの方へ最適と考えられる方法をご提案します。
ピアノのおかれた部屋
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遺品整理では、ふたつと同じ生活環境はありません。

生活必需品だけではなく、プラモデルやぬいぐるみ、あるいは楽器など多くのモノを取り扱います。

その中でも、遺品整理や生前整理といったお片づけのシーンでお困りの方が多いのは「ピアノ」です。

自分が小さい時に祖父母やご両親からプレゼントされて使っていたピアノや、亡くなったお母様のピアノ、実家をお片付けする場合のピアノなど、さまざまな場面でお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さらに、重くて大きなピアノがマンションの一室に設置されているようなケースでは、お片付けの際にピアノをどのように扱えばいいのかお悩みの方もいらっしゃることでしょう。

今回は、遺品整理におけるご家族の大切にされてきたピアノの処遇について、どのような方法があるのか、細かくご紹介いたします。

お悩みの方への一助となれば幸甚です。

👉遺品整理とは何か?

結論、ピアノ買取とピアノ搬出・処分費用のバランスを考える

お急ぎの方のために、遺品整理におけるピアノの取り扱いの方向性についての結論をお伝えします。

結論として、ピアノの搬出費用と、ピアノの買取金額のバランスを考えて可能な限り実費での請求とならない方法を検討されるのが良いでしょう。

理由や詳細は後述しますが、ピアノの処分にはまとまった搬出費用が必要になります。とくに都市部では高額な搬出日となるケースが多い印象です。

ピアノについての搬出費用が高額になるということは、そのほかのお片付け作業の費用を考えても想定外の負担を強いられます。

そこで、ピアノの買取査定を依頼し搬出費用とのバランスで、どの程度の実費負担が必要なのかどうかを慎重に見極めるのが最適な考え方だと言えるでしょう。

十数万円以上が必要となるケースもあるピアノの搬出と、需要の高いピアノの買取金額を天秤にかけ、相殺することをひとつの目的とされているお客様もいらっしゃいました。

以下、くわしく方法や流れをご紹介いたします。

🎹ピアノの種類

はじめに、ピアノの処遇を検討する上で、ピアノの種類についてお伝えします。

単に「ピアノ」といってもグランドピアノやアップライトピアノといった形だけではなく、電子ピアノ、キーボード、エレクトーンなど以下のような多数の種類が存在します。

  • グランドピアノ
  • アップライトピアノ(箱型のもの)
  • オルガン
  • エレクトーン
  • 電子ピアノ
  • キーボード
  • シンセサイザー

なお、当記事で取り上げるピアノは木でできたグランドピアノやアップライトピアノ一般的なピアノのことを指しています。

Steinway & Sons concert grand piano, model D-274, manufactured at Steinway's factory in Hamburg, Germany
グランドピアノ ”写真 © Copyright Steinway & Sons”, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

買取査定に影響するピアノメーカーについて

ヤマハやカワイなど日本で作られたピアノ以外にもヨーロッパやアメリカ、韓国や中国、ロシアといったさまざまな国でピアノは製造されています。私たちも経験したことのある主なピアノのメーカーを列挙すると以下のようになります。

※表は順不同です。すべてのピアノメーカーを網羅しているわけではありません。国旗は創業国や生産国を記したものです。くわしくは専門家の査定等の結果を優先してください。

Blüthnerブリュートナー🇩🇪
C.BECHSTEINベヒシュタイン🇩🇪
Steinway & Sonsスタインウェイ・アンド・サンズ🇩🇪🇺🇸
Bostonボストン🇺🇸🇯🇵
Bosendorferベーゼンドルファー🇦🇹
YAMAHAヤマハ🇯🇵
KAWAIカワイ🇯🇵
Pearl Riverパールリバー(広州珠江鋼琴集団)🇨🇳
YOUNG CHANGユンチャン🇰🇷

楽器には製造方法や時期による品質の変化や、個体差が存在するため、有名なピアノメーカーやブランドというだけで高額買取となるわけではありません。

しかしながら、ピアノの中には私たちもびっくりするような金額となるものもあります。

さらに、ピアノ専門店が独自の販路や輸出を行なっているため、他のピアノ買取業社より数万〜十数万円高い買取額になったケースも目にしています。

また、一般論として、やはりスタインウェイやヤマハ、カワイといった有名なピアノメーカーのものは買取査定額がつきやすい傾向にあります。

対して、見た目はヨーロッパのような作りを模しているものでも、実際には中国や韓国などのアジア地域で作られたピアノである場合もあるようです。アジア地域で製作されたピアノは買取査定額がつかない可能性もあるようです。

ピアノのペダルの数について

グランドピアノのペダルの数
グランドピアノのペダル

最近販売されている多くのピアノには、3つのペダルがついています。(写真はグランドピアノのペダルの画像です)

左は音を弱くするペダル、右は音を伸ばす(持続させる)ペダルです。

中央のペダルは、ピアノの種類によって役割が異なります。

中央のペダルは、グランドピアノの場合、ペダルを踏んだ時に押さえていた音だけを伸ばす役割を果たします。

アップライトピアノの場合の中央のペダルは、主に練習時にピアノの音を下げるための役割です(日本の住環境や家庭環境に即した機構と言えます)

以前は2つのペダルのものが主流だったようですが、20世紀以降のピアノには3つのペダルを備えるものが多数です。

以上のように、電子ピアノと一般的なピアノを見比べる際には、ペダルの数にも注目すると良いかもしれません。

さらに3つのペダルを備えているピアノは、きちんと作られた一般的なピアノとして査定の対象となる可能性が高まります。

電子ピアノ機器でも高額な買取金額となるものも。

当記事でご紹介するピアノ以外に、先にご紹介した電子ピアノ類やキーボード、シンセサイザーの中には特筆に値する価値を持つ機種も存在します。

以下のような鍵盤楽器は楽器の専門家やオークションなどで販売することを検討してみると、驚くような金額となる場合も少なくありません。

  • YAMAHA🇯🇵
    価格帯は幅広いものの、小室哲哉氏で有名なEOSや、MOXF、MOTIFなどのプロ用製品は数万円以上で取引されることもあります。
  • KORG(コルグ)🇯🇵
    価格帯は幅広いものの、OASYSやTRITON(トライトン)などの製品は探している方も多いようです。
  • Roland🇯🇵
    FANTOMなどのプロ用機器の場合には高額での買取となるケースもあるようです。
  • moog(モーグ)🇺🇸
    ロバート・モーグ氏が開発したアナログシンセサイザーやその周辺機器。数百万と驚くような金額となるものも。
  • Rhodes(ローズ)🇺🇸
    アンプ内蔵型でスーツケースピアノとも。ギターで有名なFender社のものがもっとも有名。

お探しの方が多いメーカーを挙げるとキリがありませんので、有名なメーカーを列挙してあります。

年代を問わず以上でご紹介したようなプロ用キーボードがお好きでお使いになっていた方は一定数いらっしゃるようです。

もしも以上のメーカーのロゴが印字されたキーボードをお持ちの場合には、専門家や型番でオークション検索してみると良いかもしれません。

ピアノの処分はとても難しい。具体的な方法

続いて、ピアノの処分について現実的にどのような方向性で処遇を検討するのかについてお伝えします。

お母様の大切なピアノ、家族の思い出がたくさん詰まったピアノを、やむを得ずを処分しなくてはならない場合に、最良の方法を考えてみました。

ピアノを粗大ごみに出せる自治体は非常に少ない。

ピアノを粗大ごみに出すという思考をなさる方は少ないかと思いますが、ピアノは粗大ごみとして出すことはできません。

ピアノを粗大ごみとして回収してくれる自治体は非常に少ないため、自治体から販売店へ相談するように案内されるケースがほとんどです。

たとえば、横浜市や川崎市では次のように案内されています。これは近隣の市町村でも同様です。

くわしく内容等は自治体にお問い合わせください。

販売店がわからないようなケースでは、たとえば「ヤマハピアノサービス株式会社」などに買取を依頼するなどの方法があります。(「買い受け契約書」を取り交わし、銀行振り込みによる受け取りなどが可能な場合もあるようです)

他の有名ピアノ買取業社や一般の不用品回収、リサイクルショップに依頼することも可能ですが、搬出や運送を下請け業社が担う可能性も考慮し、大切なピアノを丁寧に取り扱っていただける業者に依頼したいところです。

なお、電子ピアノやエレクトーンについても粗大ごみとしての受け入れられないとする自治体が多いようです。

重く大きなピアノを運び出すには専門家の協力が不可欠

当たり前のことではありますが、遺品整理では、家の中のピアノは外に運び出さなくてはなりません。

ピアノは搬出するだけでもコストが必要です。

ピアノの重さは家庭にあるものの中でも重量級で、一般的なアップライトピアノで、200キログラム程度と成人男性約3人分の重さがあります。

重さと大きさのあるピアノを、ピアノもお部屋も傷つけないよう、丁寧に搬出するには、専門家の協力が不可欠です。

さらに、都市部のマンションなどの場合には、通路ではなく部屋の窓やベランダ、バルコニーからクレーンによる搬出が必須となります。

マンションの高層階からピアノを搬出する場合にはラフタークレーン(くわしくはWikipediaラフテレーンクレーンを参照)によりマンションの敷地内からクレーンでピアノを吊りながら降ろす必要が出てきます。

なお、アップライトピアノの場合、十分に大きさのある玄関やお部屋の入り口で、8〜10人乗りの長方形のエレベーターがあれば搬出が可能な場合もあるようです。

ピアノ搬出に必要なお金

次に搬出したピアノはそのまま買取を行う場所まで移動しなくてはなりません。場合によっては移動についての費用が必要となることもあります。

私たちの遺品整理の場合には、ピアノを搬出できるだけの導線を確保し、他の家財やお部屋を守りながらピアノの搬出や買取に特化した専門家と協力して作業にあたっています。

マンションの中にピアノを搬入できたということは、搬出もできるということになりますが、周辺の住環境の変化でクレーンの接近が難しい場合も想定されます。こうした場合も現地を専門家と事前に調査することによって打ち合わせが必要となるケースもあります。

これらの搬出および運搬についての予算は、全体で十数万円のコストがかかるケースも珍しくありません。

なお、お客様の状況によっては数万円程度の費用で収まるケースなど、場合によって搬出料金は変わります。

このような特殊な搬出を伴うピアノについては、安易にリサイクルショップや不用品回収業社に依頼することができないばかりか、ピアノそのものの価値を傷などによって損なってしまう場合もあるかもしれません。

ピアノについての専門家と協力した搬出は必須条件といえるかもしれません。

ピアノを処分する場合には、買取を賢く利用しよう。

それでは次にピアノを売る場合について考えてみます。

美術品や楽器といった専門性の高いものは、その価値を一般の方が判断するのは非常に難しいと言えるでしょう。そこで、専門家による査定が必要となります。楽器本来の価値を見極めることは、大切にしていた方への愛情に報いることとなることでしょう。

買取を行うことができれば、大切にしていた楽器を次の世代へ引き継ぐことができます。

古いピアノでも海外への輸出など一定の需要があるようです。

大切なピアノは買取査定を利用して次世代にバトンタッチすることで、ピアノを新しい方に楽しく使っていただけるかもしれません。

なお、買取を依頼する前に、メーカー品番(U1H・K50・KG-2など)や製造番号(H1234567)等を把握しておかれると良いでしょう。

依頼する業者によっては、ピアノの運送と買取を同じ企業に依頼できるケースがあります。

買取金額は、ピンキリで大きな幅があるもののヤマハ、カワイといった国内で多く流通していて人気のあるものは需要もあり、まとまった金額で買取が行われるケースも多いようです。

これまでご紹介したようなピアノをお持ちの方は、まず査定を依頼して買取の可能性や金額などを調べてみることをオススメします。

搬出・運搬費≒買取査定額を目指そう

ここまで、搬出や運搬費がまとまった金額になるケースをご紹介してきました。

冒頭、結論としてお伝えしたように、これら搬出・運搬費と、買取査定額のバランスが重要だと言えます。

いずれの場合にも、搬出や運搬は必要となってくるため、具体的にどの程度の費用が必要となるのかを相見積もりなどの方法で検討しましょう。

次に、おおよその買取査定額を把握しておくことによって、搬出にかかるコストと、買取査定額のバランスを比較できます。

経験上、有名メーカーのピアノであれば搬出コストを賄えるだけの買取査定額となる場合が多い印象です。

信頼できる業者を見つけるのは煩雑な作業を伴うかもしれませんが、大切なピアノを1社への見積もりや査定額だけで判断することなく、全体のバランスを見ながら決定されるのが良いでしょう。

買い取られたピアノはどうなるのか

ところで、買い取られたピアノはどのように次の世代に「バトンタッチ」されるのでしょうか。

一般的な流れを見てみます。

買取が成立して工場や店舗に届いたピアノは、丁寧に解体され掃除を行います。

掃除が完了したら、外装やピアノ内部の痛み具合を確認し、どのように修繕するのかを決定します。

痛み具合を確認すると同時に調整が必要な部分や、音がどの程度狂っているのかを調べ、修理の痕跡や、使われている部品の品質やメーカーなどに至るまでしっかりとチェックを行います。

修繕箇所や方向性が決まったら、修繕しながら、外装はもちろん、内部のサビ、フェルト等修理が必要な部分を修理します。交換が必要な部分については交換などを適宜行い、最後に調律を行って販売を行うのです。

以上のような買い取られた後、メンテナンスされたのちのピアノの姿を想像しながら、査定を行う専門家であれば大切なピアノを任せても問題ないと判断できるのではないでしょうか。

あなたやご家族が大切にしてきたピアノを次の世代に良い状態で届けることのできる業者を選べば、ピアノ自身も、ご家族も満足してピアノを手放すことができるかもしれません。

まとめ

ここまで、ピアノの運送と買取をセットで考えることにより、ムダな出品を押さえながら次の世代にピアノを使ってもらう方法をご紹介してきました。

まずは、搬出費用を賄えるだけの買取査定額が出せるのかどうか、そして依頼した買取業社はきちんとピアノをメンテナンスして再販してくれる業者なのか、といったポイントを考慮するのが良いでしょう。

あくまでも決定権を持つのは、あなたやご家族です。複数の業者から見積もりを取り寄せるなど、多くの情報を吟味して、最適なバランスを見つけてみてください。

ひょっとすると、ご実家にあるピアノは搬出費用を大きく上回るような査定額となる可能性もあります。

そして、何よりもご実家やお部屋にあるピアノが新しい持ち主のもとで生き生きと音を奏でている姿を想像できることは、これまで大切にしてきたあなたやご家族にとって新生活への良いきっかけとなるのではないでしょうか。

私たち横浜ベスト遺品整理社でもピアノを含むお片付けを承っております。お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みくださいましてありがとうございました。