終活・生前整理 掲載

老後の住み替えを考える人が考慮すべきメリットとデメリット

老後に戸建てからマンションへ引っ越すメリットとデメリットをご紹介します。自宅周りの管理負担が軽く、身軽な暮らしができ、バリアフリーやセキュリティを兼ね備えた快適な生活環境を得られることから考えている方も少なくありません。
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賃貸と分譲、借家と持ち家と同じくらい結論の出にくい問題として、誰もが一度は考えたことのある不動産にまつわる問題。

不動産に対する、この手の問題の結論が存在しないのは、人によって最適な答えが異なるからに他なりません。

たとえば、老後を考えた住み替えをお考えになる方と子育て世代とでは、住宅に求める条件が大きく異なるのは当然です。

今回は、老後に戸建てからマンションへ引越しをお考えの方やそのご家族に役立つ情報をまとめました。

大事なのは本来の目的を持って、手段と間違えないこと

手段と目的が逆転してしまうのを避けることはとても重要です。

たとえば、集中できる環境を作り、シンプルで快適な生活を送るためにミニマリスト的な考えで生活をはじめて以降、集中できる環境づくりという目的から、単にモノを減らすことだけが目的となってしまっている方は少なくありません。

また、親睦を深めることが目的だったのに、ダラダラと惰性で開催される飲み会になってしまっていることを経験されている方もいらっしゃることでしょう。

快適な生活を求めて戸建てからマンションへ引っ越しを考えるわけで、マンションへの引越しは老後も快適に過ごすという目的を達成するための手段でしかありません。

この点を履き違えると、戸建てを高く売ることに執着したり、理想のマンションを探すことだけが目的になってしまったりと、本来の目的を大きく逸脱することになりますのでご注意ください。

老後に戸建てから広すぎる戸建てからマンションへ引っ越すメリット

これまで生前整理を行なっていただいたお客様にヒアリングするなどして、老後に戸建てからマンションへ引っ越すメリットを考えてみます。

まず、住宅団地に比べてマンションは立地が考えられている場所が多く、戸建てからマンションに引っ越してよかったと考えておられる方が多いように思います。長めの良いタワーマンションに住んでおられる方も、一般的なマンションの1階に住んでおられる方もさまざまですが、自治会などが煩わしさを感じる反面、関係性が築けたといったお声もありました。中には害虫の少なさをあげられている方もいらっしゃいました。

老後に戸建てからマンションへ引っ越すメリットについて以下詳しくご紹介いたします。

自宅周りの管理負担が軽く、身軽な暮らし。

子供が巣立った後のご実家は空き部屋が増えてしまいます。中には2階部分すべてが空き部屋といったケースも少なくありません。

しかしながら、人がいない部屋だとしてもカビ等を防ぐためには掃除や換気は必要です。一方マンションでは高機能な断熱材や部屋の構造により風呂場とリビングなどに急激な温度差が生じる部分も少なく、湿度管理さえ適切であれば高齢者にとっては快適な生活環境です。

さらに、戸建では庭の草むしりや、災害後の処理や後始末の負担です。マンションの場合には管理会社が委託しており、エレベーターや廊下といった共用部の管理はすべて他人に任せられます。

管理費や修繕積立金がしっかりと行えているマンションの場合には、世帯構成に合わせて間取りを選べ戸建に比べてコンパクトで必要十分な生活が可能です。また、戸建のように災害や経年変化に対してストレスなく生活できる可能性は高いと言えるでしょう。

バリアフリーやセキュリティを兼ね備えた快適な生活環境

30年以上前に建てられた戸建のようなケースでは、バリアフリーが考えられているケースは少なく、階段が急すぎたり、玄関のかまちが高すぎたりして生活しずらいといったお声を耳にします。

また、戸建同士の間のスペースや倉庫など、死角が多いことから空き巣被害と無縁というわけにはいきません。玉砂利を引いたりセンサーライトを取り付けていても、被害に遭ってしまったというケースは少なくありません。

対してマンション等の集合住宅では、エントランスがしっかりと用意されており、監視カメラやセキュリティが十分に担保されていることから犯罪に対して一定の抑止効果があります。

最近は空き巣が雨樋やベランダ伝いに屋上から侵入するといったケースも耳にするため、鉄壁なセキュリティというわけには行きませんが、鍵かけなど最低限のセキュリティ対策を行なっておくことで戸建よりもセキュリティの高い生活が送れることでしょう。

老後に広すぎる戸建てからマンションへ引っ越すデメリットとは

メリットだけご紹介するととても素晴らしい計画のように感じられるかもしれませんが、同様にデメリットも存在します。

もっとも大きなデメリットと考えられるのは、戸建に対してルールや制限が多く、窮屈さを感じることでしょう。とくにペットや楽器演奏といったことには注意が必要です。

戸建に比べて隣人が近いわけですから、上下左右、四方の隣人に対してやや配慮が必要な生活を強いられる可能性はあります。慣れていないと配慮の水準も分かりづらく、どの程度配慮していいのか迷うといったご意見も伺います。

また生活上のデメリット以外にも、金銭面では管理費や修繕のための積立金の支払いがあり、駐車場を借りる場合には毎月の出費も必要です。なお、駐車場については車庫が離れたところにあったりするなどストレスとなるケースも考慮に入れるべきでしょう。

もしもトラブルに見舞われたり、負担軽減のための住み替えを検討するケースでは、賃貸ではなく分譲の場合、簡単には引っ越すことができないので注意が必要です。

その地域によってマンションごとにファミリー向けといったそれぞれの性質が存在することから、慎重に見極めながら物件を選びたいところです。

老後の住み替えに潜む恐ろしい罠とは

老後の住み替えは立地や隣人とのトラブルといった環境や物件選び面だけではありません。

老後の住み替えに潜む恐ろしい罠として、金銭面での問題がピックアップされます。

マンション購入の資金繰りが苦しくなってしまったり、現在の住まいの売却価格をかなり低い金額で売却してしまったなどといったケースです。

持ち家を不動産会社に売却してまとまった資金を得られるリースバックでも買い戻しができなかったり、負担増となったという例もあります。

これら金銭面は物価上昇や家賃上昇など将来を予測するようなものでない限り、毎月の支払い予算や、不動産の売却価格など、事前に数字で見て判断可能なものが多い部分です。
後悔のないように、必ず慎重に情報を吟味しましょう。

加えて、考慮すべきなのは「住み替えを行うタイミング」についてです。

不安を解消しようと焦るあまり、実際の老後の生活をうまくイメージできない状況での物件選びと引越しに無理があったというケースや、希望の物件をうまく選び出せたものの、住宅ローンが組めなくなってしまったといった例も少なくありません。

焦りすぎてもダメですし、遅すぎてもダメということになります。
適切なタイミングをご自身で見極めながら対策を取っていきたいものです。

戸建てからマンションに引っ越す場合の荷物についての考え方

戸建てからマンションへと引っ越しを行う場合に、お困りの方が多いのは、増えた荷物をどのように減らすのか、というポイントです。

戸建ではスペースに余裕があるので不要なものまで所有してしまいがちですが、戸建てからマンションといった老後の住み替えは、居住スペース減少となる場合がほとんどでしょう。

そのため、限られた収納スペースを最大限有効活用するために、収納を増やす家具を置くのではなく不要なものをなくす、というのがポイントになります。

しかし、大きな断捨離はストレスを伴うことも少なくありません。たとえば洋服。ひとつずつ仕分けていくのは時間と根気が必要です。

そこでポイントとなるのは、必要だと思っていたけど、実は使っていないものもたくさんあったりするもの。代表的な例が、いつの間にか増えてしまって困る食器です。最小限必要なものを残し、使っていないものを中心に仕分けていくと大きくものを減らせます。

捨てることにためらいのあるものは残し、数が多いものを中心に荷物を選別していけば、不要なものの多さに驚き、スッキリとさせることができることでしょう。

住み替えで家を売ってマンションを買う場合の税金問題

持ち家を売却して譲渡所得が発生した場合には、所得税と住民税の課税対象になります。

ただし、一般的に以下のようなケースでは譲渡所得が出たとしても控除特例を利用して税金を抑えられます。

  • 売って手にしたお金が購入した価格より少ない場合(購入した価格より安く売却した場合)
  • 家を売却して得た譲渡所得が3,000万円以下の場合(3000万円特例控除)
  • 買い替え特例(住み替えのために売却した場合)

家の売却により譲渡益が出た場合で、所有期間が10年を超え、住宅を買い替える場合には居住用財産の買い替え特例や、3,000万円の特別控除や軽減税率を利用できるため税金を抑えられます。

これらの特例は組み合わせて利用できないほか、適用について複雑な場合分けが必要な場合もあるため、事前に専門家へ相談しておくと良いでしょう。

終の住処としてのオススメはマンション? 高齢者になったらどこに住むべきか。

ところで、終の棲家として人気なのは戸建てやマンションのほか、老人ホームへの入居といった選択肢もあります。

要介護認定を受けていなくても入居できる老人ホームも多く、医療法人との提携をおこなっている事業者も増えており、健康面でも安心した生活となることでしょう。

持ち家を売却して老人ホームへの入居を考える方も少なくありません。

将来的にどのような生活を送りたいのかを事前に相談しておくことも重要だと言えるでしょう。

ただし、内閣府による「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」によれば、日本の高齢者の実に9割以上が持ち家に住んでいるのが現実です。そのうち実に81.4%が戸建てです。

家族は長年住み慣れた家に住みたいと思っていることをしっかりと理解しながら安心できる住環境として老人ホームを天秤にかけ、リフォームを行うべきなのか、老人ホームに入居すべきなのか、それぞれのメリットを慎重に検討しながら最適な解を見つけていただきたいと思います。

まとめ

今回は、シニア世代の方が老後に戸建てからマンションに住み替えるケースについてのメリットとデメリットについて見てきました。

老後に戸建てからマンションへ引っ越すと自宅周りの管理負担が軽く、身軽な暮らしができ、バリアフリーやセキュリティを兼ね備えた快適な生活環境を実現できる例も多く、多くのお客様がこれらの選択肢で充実した生活を送られている姿を目にしてまいりました。

ご家族の人生設計によって選択肢や結論は大きく変わります。

この記事が一般的なテンプレの考え方にこだわらず、ご自身やご家族にとってどのような生活の形がもっとも良いのかをしっかりと考え、ゆっくりと決断をするための一助となれば幸いです。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

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