遺品整理しようと思っても、躊躇してしまう。
慌ただしい葬儀などを終え、形見分け後、大量に残った多くの衣類や家財道具、そして写真をはじめとした思い出の数々。
中でも「写真」は、直接ご遺族と故人との思い出ですから、尚更、遺品整理の中でも写真の処理にお困りという方が多いと思います。
これらを処分してしまっては、故人との思い出、そして故人の存在そのものを否定した気がしてしまう。そうお考えの方は少なくないかと思います。
もちろん、すべての写真をそのまま処分してしまうわけにもいきませんし、かといってずっとそのまま放置しておくというのも難しいですよね。
思い切って写真の整理を始めるのであれば、なるべく、ご遺族の方全員が納得した上で、整理したいとお考えの方も多いかと思います。
今回は、遺品整理の中でも、ただ単に写真の整理方法をご紹介するだけでなく、遺品整理を行う上で、デリケートな写真に対する扱い方についてお話ししてまいります。
遺品整理は、故人へご遺族の方の感謝の気持ちを送る非常に良い機会となります。
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無理をしない:気が向いたら、はじめましょう
まず、やはり皆様に申し上げたいことは、写真に限らず、ご遺品は、「そのままでも構わない」ということです。
ご自身が遺品整理をできるだけの覚悟ができない、気が向かないということであれば、そのままにしておくべきでしょう。
ご自身が、「遺品を整理しよう」とか「写真を見てみようかな」とふと思えるようになるまで、手を付けないことで、残されたご遺族の方々の気持ちが落ち着いた頃合いに、故人を偲ぶ良い機会にもなり得ます。
いざ遺品整理を開始する際には、写真以外の整理しやすい家財道具などから始めてみてください。
よく着ていた服や思い出の品は整理しにくいと思いますので、服は2つだけ残す、ですとか、故人が大切にしていたものは1点ずつ残す、などのルールを設けて遺品整理を行ってみてください。
写真の整理は、その後から少しずつ開始してゆけばいいのです。
故人の写真を整理する:まずは選んで、分けてみましょう
いざ写真を整理することになった際に、大切にしていただきたいことは、「少しずつ」と「できるところまで」、そして、まずは「分ける」ということになります。
無理をしないで少しずつ
故人との大切な思い出がたくさん詰まった写真。
その写真を整理するためには、大量の写真をご遺族の方で整理しなくてはいけないという肉体的な負担と、心が締め付けられるような思いを感じながら、故人との思い出を振り返りながら、作業を進めなくてはならないという精神的な負担が掛かってしまいます。
「もうこれ以上進めることができない」そう感じたら、そのまま手を止めて、堪えることなく感情を露わにしてください。
後日落ち着いて作業をすればいいのです。とにかく無理をしないでください。
残しておきたい写真を選ぼう
分類する際に、写真は、「捨てるもの」と「捨てないもの」というように分けるのではなく、ご遺族が「残しておきたい写真」をまずピックアップすることに努めてください。
処分するかどうか、ということではなく、まず、残しておきたい思い出のいっぱい詰まった素敵な写真を選んでおきましょう。
- 風景写真
- 故人の友人との写真
- 家族での写真
- 故人のみの写真
このように分別して、アルバムに保存しておくことで、故人を偲ぶ際、法事などでご親戚の方もアルバムを手に取って、故人を振り返ることができるようになります。
フィルムの写真とデジカメの写真について
写真の分別をするときには、ネガやポジフィルムなどで撮影されたスチール写真(銀塩写真・紙焼き写真)とデジカメや携帯電話で撮影されたデジタルデータであるのかどうかについても注意しましょう。
デジタルデータは、SDカードなどのメディアに保存されていたり、パソコンにデータとして保存されている場合があるからです。
SDカードなどのメディアやパソコンに保存されたHDDデータ(ハードディスクデータ)は、経年変化で消失してしまうリスクも伴うので、CD-RやDVD-Rなどといったメディアへ新たに保存したうえで保管しておくとよいでしょう。(パソコンからDVD-Rなどにデータを保存する方法:Windows10 データをDVD-Rに書き込む手順 https://freepc.jp/dvdr)
保管した後のメディアは、コンビニや家電量販店、カメラ屋さんでプリントアウトすることもできます。
写真のデジタル化:思い出の写真をスマホやパソコンで管理する方法
では、スチール写真(紙焼き写真)の場合はどうすればいいのでしょうか。
ここでは3つの方法をご紹介します。
スチール写真をデジタル化することで、場所を取らずに管理をすることができ、分別することなく、すべての写真をご自身のパソコン上で管理することも可能です。また、災害などの事故によって物理的にアルバムが消失したりといったリスクを低減することもできます。
スチール写真やフィルム、アルバムをデジタルデータに変換するためには、いくつかの方法があります。
スマホのアプリを使う
まず最も手軽な方法は、近年一般に一挙に普及している「スマートフォン」のアプリを使用する方法です。
Googleの「フォトスキャン」のように、スチール写真を簡単にデータ化することができます。(リンクをクリックすると、アプリストアが開きます)
このフォトスキャンを使用することで、写真をスマホに取り込むことも容易となり、SNSやメールで共有することも可能です。
フォトスキャンは、色調補正も装備されており、写真の色が褪せていても、当時に近い色合いにすることができるほか、台形補正機能を使えば、台形のように斜めから撮影されてあものでも、きれいな長方形に成型することができます。
スマートフォンのカメラは、近年目覚ましい発展を遂げており、解像度も十分ですから、今後頻繁にプリントすることがなく、まず保管するということを考えれば、こちらのアプリを使用すれば問題ないでしょう。
スマホ+専用のアクセサリで美しく
スマホアプリを使う方法ですと、室内の照明の兼ね合いで、天井の照明が映りこんだり、写真が扇形に湾曲していたりして、浮いてしまって全体が歪んでしまうこともあります。
このような時は、PFUの「Omoidori(おもいどり・税込価格¥12,800)」などを使用することで、iPhoneに取り付けて、紙焼き写真を手軽にデータ化することができます。
Omoidoriについて、詳しくは公式サイトをご覧ください。
PFU「Omoidori」
アルバムに貼られた写真をテカりなくキレイにスキャンする全く新しいiPhoneアルバムスキャナ
写真のデジタル化をプロに依頼して思い出をずーっと保存
ここまでにご紹介した方法は、写真を1枚1枚手作業でデータ化することが前提で、枚数が大量にある場合や、ネガ・ポジフィルムとして残っている場合には、有効ではありません。
フィルム形式のスキャナーを読み込む際には、パソコンによる作業の知識が必要になるほか、フィルム形式のスキャナー自体が高額のため、遺品整理に関してこのような作業を行うのはためらわれる方も少なくないと思います。(参考:フィルムスキャナーのおすすめ人気ランキング10選(https://my-best.com/1567)
そうした場合には、写真のデータ化を行っている業者を探してみましょう。
多くの業者では、1枚数十円の単価で、スチール写真をスマートフォンやパソコンで利用可能なデータにすることができます。
参考
「節目写真館」
代表的なデジタル化サービスを行っている業者。スキャン実績1億枚超。
遺品供養:写真などの遺品をきちんと整理するために
デジタルデータとして保存することができた、あるいは処理したい写真が決まった際、次に写真の処理について具体的にお話ししたいと思います。
結論から申し上げると、写真を「遺品」として「供養する」ということになります。
故人が亡くなった時にお世話になったお寺写真のお焚き上げを行うことで、供養をしていただくことができますし、専門の遺品整理業者にも「遺品供養」として依頼することができます。
お寺や神社で遺品供養を行う
お寺や神社での遺品供養は、各々によってお焚き上げ出来るものに制限があることもあります。また、神社やお寺によっては「檀家以外受付不可」の場合もあります。お寺によっては、回忌法要の際に写真の供養を実施されているお寺もあるようです。
遺品整理業者に供養を依頼する
料金を支払う必要があるものの、故人が住んでいた賃貸物件からの引き上げに伴い、遺品整理を急がなくてはいけない、などといった理由がある場合には、依頼することで、スムーズに遺品整理の作業を行うことができるだけでなく、一人では考えてしまって処分できない写真などのようなものでも思い切って整理することもできます。
業者によりますが、横浜ベスト遺品整理社をはじめ、多くの遺品整理業者が、無宗派でのしっかりと供養とお焚き上げ等を行うことができます。
さいごに
いかがだったでしょうか。
遺品整理はご遺族の方が、思っているよりも遺族の心にも体にも大きな負担をかける作業です。特に写真には故人との思い出がたくさん詰まっているため、処分することそのものに、罪悪感を感じてしまうこともあるかと思います。
無理をせず、自分の気持ちに正直に向き合いながらゆっくりと整理を行っていただければと思います。
残しておきたい写真をデジタルデータにして、紙焼きの写真は供養をする、など現代ならではの整理の方法についてもご紹介しました。ぜひご参考ください。
ご遺族の皆様では、時間的にも、気持ちの面でも、どうしても踏ん切りがつかない、といった場合などは、遺品整理業者に頼るのも一つの方法です。
遺品整理士という認定資格を持ったプロがご遺族の方をサポートすることで、スムーズに整理を行うことも可能です。
参考サイト:
文春オンライン「試してみた! 紙焼き写真をデータ化する3つの方法」