ご両親が亡くなられて、生前乗られていたお車やバイクをどうするのか、マイカーの利用が必要な郊外にお住まいだった場合には、お困りになることがあるかと思います。
この記事では、ご両親が乗られていた車の手続きについて、詳しい手順を解説させていただきます。
もちろん、横浜ベスト遺品整理社でもワンストップで手続きについてご案内することも可能ですが、こちらの内容をお客様に事前に把握していただくことで、他の遺品整理社をご利用の方、当社担当エリア外でお悩みのお客様の一助となれば幸いです。
この記事の要点
長い記事になりましたので、要点を書いておきます。
- まず相続手続きを完了することが前提条件
- 亡くなった方のお車を廃車するためには、相続する権利を受け継ぐ人間を公的に証明するための書類として、戸籍謄本、除籍謄本、遺産分割協議書が必要となる
- 相続して受け継ぐ場合、売却する場合、廃車にする場合、いずれの場合も名義変更が必要
- 単独で相続する場合と、共同で相続する場合で、用意する書類が異なる
- 名義変更の場合には、通常の名義変更の書類+戸籍謄本(除籍)、遺産分割協議書あるいは、相続人全員の印鑑登録証明書が必要となる
- 名義変更は、相続した新所有者が住んでいる地区を管轄する陸運局で行う
車を買い取ってもらうにも廃車にするにも、車の所有者の承諾が必要となります。しかし、故人様の印鑑証明を取ることはできませんので、相続人の印鑑証明と実印が必要です。
相続人となるのは、配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順となります。
名義変更の手続きは、ご本人でなくても委任状があれば第三者が代行することができ、当社でも故人様の廃車までの手続きなどを承っております。
はじめに:遺品整理や生前整理における車の取り扱い
遺品整理や生前整理において、お車やバイクの取り扱いについては、相続手続きが必要です。
自家用車やバイクは遺産として相続の対象となるからです。
大まかな流れとしては、以下のようになります。
- 遺産分割協議を行って相続手続きを完了させる
- 必要な書類を集める
- 陸運局で名義変更をする
- 名義変更完了後に、廃車手続き、売却を行う
「軽自動車には相続手続きが必要ない」というウソ
インターネット上では、頻繁に「軽自動車においては相続手続きが必要ない」という情報が掲載されていますが、この認識は大きな間違いです。
大手ディーラーでも軽自動車については相続の対象ではない、という案内が行われていることに驚きます。
確かに、後述する「遺産分割協議書」や「相続人の印鑑証明および実印や委任状」は必要ありませんが、「被相続人の戸籍謄本」は必要なのです。
これは、紛れもない相続手続きです。すなわち、軽自動車は相続財産なのです。
そもそも、相続とは、財産の価値を判定し、どのように相続人がこの財産を話し合って分けるか、という手続きです。車以外にも、資産価値のあるものを売却する際には、遺産分割協議書が必要になります。軽自動車の提出書類の多少や、手続きが簡略化されているという理由で「軽自動車には相続手続きが必要ない」とはなりません。
ですから、親族ならどなたでも勝手に名義変更ができるという性質のものではなく、相続人全員で話し合う遺産分割の対象になります。きちんと軽自動車やバイクについても相続人で話し合いましょう。
誤解されいる方や、間違った情報が多いので、注意喚起の意味を込めて冒頭でお伝えしておきます。(他の相続人に無断で勝手に軽自動車を相続した上、名義変更を行えば、法的措置を受ける恐れがあります:不当利得返還請求、損害賠償請求など)
ローンが残っているお車やバイクについて
お車やバイクをローンで購入した場合、自動車の所有者は、ローン会社やディーラーになります。
ローンが残っている場合には、ローンの支払いが終了するまで名義変更が出来ません。
また、すでにローンを完済していても自動的に購入者が所有者になるわけではありません。この所有権を使用者にしてから、名義変更する必要があります。弁護士あるいは行政書士の方にご相談になると良いかと思います。
相続の後に手続きを実施する:車やバイクの手続きを行う前に相続手続きが必須
遺品整理は、相続の後に行うものです。したがって、相続の結果が重要です。
そのため、車やバイクの名義変更を行うときには、その時点で相続手続きが完了していなければならないと考えましょう。
故人の車やバイクを引き続き使用するとき、売却予定の場合、さらには廃車にする場合、いずれのケースでも必ず相続手続きをしなければならないのです。
相続においては、車やバイクに限らず、銀行口座や不動産などにおいても、相続する権利を受け継ぐ人間を公的に証明するための書類(戸籍謄本など)が必要になります。
遺産分割協議は、専門家の協力を得て、きちんと実施すべきです。社会や法律によって日本に住む人たちに課せられた規則は、煩雑だと避けることなく、むしろ定められた手続きを行うことで、社会的、法的に大きなリスクから身を守ることができると考えるべきでしょう。
相続の結果で用意する書類が異なる
車やバイクの具体的な手続きをされる段階では、すでに相続についても話し合いが決着していることが前提です。
相続は、親族の中の一人が単独で相続する場合と、相続人全員で共同相続するという2つのケースがあります。
車両価格の査定が、100万円以下の場合には、相続人全員が合意していれば、「遺産分割協議成立申立書」を用いた申請を行うことができます。
単独相続の場合:車を権利を全部相続する
相続人のうち、どなたか一人の名義に変更する場合です。単独相続の場合には、相続人全員が、遺産相続に合意したことを示す「遺産分割協議書」を作成する必要があります。このとき、遺産分割協議書には相続人全員の実印を押印する必要があり、さらに相続人全員分の印鑑証明書を添付する必要があります。
共同相続の場合:車の権利を一部相続する
相続人のうち、全員が話し合いの結果、それぞれ任意の割合で権利を相続する場合には、相続人全員の共同相続する人全員の印鑑証明書だけでなく、名義変更の際にOCRと呼ばれる書類の「氏名等補助シート」に相続人全員の名前を記入する必要があります。
相続人の中に未成年者がいるとき
相続人に未成年者がいる場合には、未成年者に代わって遺産分割協議に参加する「特別代理人」を家庭裁判所より選任していただく必要があります(この特別代理人が協議参加の上、実印を押印したりします)
未成年者がいるときには、多くの場合、共同相続による車やバイクの名義変更を行うことが多いように思います。
ダブル移転:相続人以外の人がお車やバイクを譲り受けるときには
お亡くなりになった方のご友人や相続人に該当しないお孫さんに名義変更を行う際には、相続手続きの中での名義変更をすることができません。
このようなときには、まず、故人→代表の相続人、つまり、相続人の代表者1名が一旦相続して該当する車の名義人となり、後に、代表の相続人→相続人以外、つまり、もう一度名義変更の手続きを行って相続人以外の方に名義変更を行うという2段階の手順が必要になります。これをダブル移転などと言います。それぞれの手続きに必要な書類が整っていれば、故人→代表の相続人→相続人以外という手続きを1回で変更することも可能です(登録手数料などは2回分必要です)
相続手続き、遺産分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書あるいは、遺産分割協議成立申立書を作成します。書類の作成にあたっては、行政書士や自動車の名義変更手続きなどに詳しい遺品整理社に依頼すると良いでしょう。
名義変更の手続きについて
相続の手続きが完了したら、実際にお車の名義変更を実施します。
名義変更手続きが完了すれば、そのまま受け継いで乗ることもできますし、売却や廃車手続きを行うことができるようになります。
バイクの場合には、名義変更の場合も、
以下、車種別に用意する書類や窓口が異なるため、それぞれ車種別にご紹介します。
書類をご自分で用意するのが大変かもしれません。手続きについては当社でもご案内させていただけます。
普通自動車で査定価格が100万円以下の場合:遺産分割協議成立申立書による手続き
車両の査定価格が、100万円以下の場合には、相続人全員が合意していれば、通常の手続きとは異なり、「遺産分割協議成立申立書」を用いた申請を行うこともできます。
この申立書による申請の場合には、代表相続人以外の書類は必要ありません。相続の代表者の方だけの署名と捺印で作成することが可能です。遺産分割協議書に全員の押印をもらうのが難しい場合などに利用できます。ただし、査定価格が100万円以下であることを事前に調べる必要があることと、あくまでも申立書の形式であることを考えると、遺産分割協議書を用意した手続きが良いかもしれません。
書類の作成にあたっては、自動車の買取や廃車手続き代行を行っている業者や、遺品整理業社にご相談ください。
- 遺産分割協議成立申立書
- 相続代表者の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
- 被相続人(故人)の死亡が確認できる戸籍謄本又は、戸籍の全部事項証明書
- 被相続人(故人)と相続人の関係が証明できる戸籍謄本又は、戸籍の全部事項証明書
- 相続人の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 相続人の実印又は、実印を押した委任状
- 相続する自動車の価格が100万円以下であることが確認できる査定協会発行の査定書
「相続する自動車の価格が100万円以下であることが確認できる査定協会発行の査定書」について、ディーラーや車の販売店などで、査定を依頼し、査定書を作っていただいたものを利用することもできます。
普通自動車を相続人のどなたか一人が単独相続する場合
必要な書類を用意し、相続した新使用者のお住いのエリアの陸運局で手続きを行います。
単独相続による名義変更に必要な書類は、以下の通りです。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車検査証記入申請書(移転登録申請書)→陸運局用紙販売所で購入
- 自動車税・自動車取得税申告書→陸運局に隣接した税事務所で配布を受ける
- 手数料納付書→登録窓口や登録印紙の購入窓口で配布を受ける
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書)
- 戸籍謄本(除籍と記載されているもの)→故人のもので、故人と相続人全員の関係が分かるもの
- 実印→新使用者本人が申請する場合、申請書の所定欄に押印
- 相続人の印鑑登録証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 遺産分割協議書(遺産分割協議書の書式)→相続人全員の実印が押されたもの
- 委任状→実印を押印したものが必要。
- 譲渡書→実印を押印したものが必要。廃車手続きなどを業者が代行する場合など
普通自動車を相続人全員で共同相続する場合
必要な書類を用意し、相続した新使用者のお住いのエリアのお住いのエリアの陸運局で手続きを行います。
共同相続による名義変更に必要な書類は、以下の通りです。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車検査証記入申請書(移転登録申請書)→陸運局用紙販売所で購入
- 自動車税・自動車取得税申告書→陸運局に隣接した税事務所で配布を受ける
- 手数料納付書→登録窓口や登録印紙の購入窓口で配布を受ける
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書)
- 戸籍謄本(除籍)→故人のもので、故人と相続人全員の関係が分かるもの
- 実印→申請書の所定欄に押印
- 相続人全員の印鑑登録証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 氏名等補助シート(OCRシート第9号様式)→用紙販売所で購入
- 未成年相続人全員の住民票→未成年が相続人に含まれる時のみ。発行日の翌日から3ヶ月以内のもの。
- 相続人全員の委任状→代理人が申請する場合。実印を押印したもの
- 譲渡書→実印を押印したものが必要。廃車手続きなどを業者が代行する場合などに求められることがあります。業者に依頼する場合
車両価格の査定が、100万円以下の場合には、相続人全員が合意していれば、「遺産分割協議成立申立書」を用いた申請を行うことができます。
この申請の場合には、代表相続人以外の書類は必要ありません。
軽自動車の場合
軽自動車検査協会の窓口で必要な書類を持参し手続きを行います。
軽自動車の場合に必要な書類は以下の通りです。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車検査証記入申請書→軽自動車検査協会にての窓口で購入
- 軽自動車税申告書→軽自動車検査協会にての窓口で配布を受ける
- 相続人の印鑑登録証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)または相続人の住民票
原付バイク(排気量:125cc以下)の場合
原付バイク(排気量:125cc以下)の場合には、通常の手続きと変わりません。ナンバープレートを管轄する市町村の役所で行います。
名義変更する場合には、一度、原付バイクを廃車してから、所有者の名義人を変更します。
- 廃車申請書→役所の窓口にて入手
- 標識交付証明書→故人のナンバーが交付時に渡される書類
- 故人の原付に取り付けてあるナンバープレート
- 印鑑(認印)
軽二輪バイク(排気量126〜250cc)の場合
軽二輪バイクの場合にも、原付バイクと同じように、一旦廃車にし、相続した新使用者が乗り継ぐ場合には、そのバイクの新使用者によって名義変更手続きを行い、ナンバーを取り直すのが一般的な方法です。
手続きは、ナンバーを管轄する陸運局で廃車手続きを行い、次に新たな使用者の住所を管轄する陸運局でナンバーを再取得します。
廃車に必要な書類
- 故人のバイクに取り付けてあるナンバープレート
- 軽自動車届出済証→ナンバー交付時に渡される書類
- 軽自動車届出済証返納届→陸運局用紙販売所で購入
- 印鑑(認印)
- 軽自動車届出済証返納証明書交付請求書→廃車したバイクを再度登録する場合に必要
再登録に必要な書類
- 印鑑(認印)→所有者と相続人である新使用者が違う場合両方の印鑑
- 新使用者の住民票(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 自賠責保険証
- 軽自動車税申告書
- 軽自動車届出書→陸運局か周辺の販売所で購入
- 軽自動車届出済証返納証明書→廃車手続きの際に渡される書類
- 軽自動車届出済証返納済確認書→廃車手続きの際に渡される書類
小型二輪バイク(排気量251cc以上)の場合
小型二輪バイクの場合にも、一旦廃車にし、相続した新使用者が乗り継ぐ場合には、そのバイクの新使用者によって名義変更手続きを行い、ナンバーを取り直すのが一般的な方法です。
手続きは、ナンバーを管轄する陸運局で廃車手続きを行い、次に新たな使用者の住所を管轄する陸運局でナンバーを再取得します。
廃車に必要な書類
- 自動車検査証(車検証)
- 手数料納付書→登録窓口や登録印紙の購入窓口で配布を受ける
- 抹消登録申請書→陸運局か周辺の販売所で購入
- 軽自動車税申告書→陸運局か周辺の販売所で購入
- 故人のバイクに取り付けてあるナンバープレート
- 印鑑(認印)
- 委任状→故人であるバイクの所有者が死亡しているため必要となる
再登録に必要な書類
- 印鑑(認印)→所有者と相続人である新使用者が違う場合両方の印鑑
- 新使用者の住民票(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 自賠責保険証
- 自動車重量税納付書→陸運局か周辺の販売所で購入
- 新規登録・検査申請書→陸運局か周辺の販売所で購入
- 自動車検査証返納証明書→廃車手続きの際に渡される書類
- 手数料納付書→登録窓口や登録印紙の購入窓口で配布を受ける
- 軽自動車税申告書
- 定期点検記録簿
- 自動車検査票→陸運局か周辺の販売所で購入
- 委任状→どなたかが代理で登録手続きを行う場合のみ
まとめ
今回は遺品整理における車やバイクの廃車手続きおよび名義変更手続きについてまとめました。
ご自身で行おうとされると非常に煩雑となるこうした手続きは、信頼のできる業者に依頼すると良いでしょう。
横浜ベスト遺品整理社でも、故人が生前乗られていた自動車の廃車手続きについてワンストップで当社のみの対応が可能です。司法書士事務所、弁護士事務所、行政書士事務所などと提携しておりますので、遺品整理に限らず、生前整理や相続関係なども、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。