遺品整理 掲載

使用済みの通帳、薬、刀剣…遺品整理で困る物品の処理方法

遺品整理などを行う際に、普段処理したことがないため取り扱いに困った、と耳にする物品があります。使用済みの通帳や溜め込まれたお薬などの取扱方法についてご紹介します。
お金と通帳と赤十字の画像
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遺品整理、遺産整理の作業を業者へ依頼する前に、大切な物品などをご家族が探しておかれたいというケースは多かったりします。

それだけではなく遺品整理や終活の一環で、大切な物品をご家族で整理したい場合もあることでしょう。

このようなご家族で大切な物品を取り扱うとき、遺品整理で残しておいた方が良いものだけではなく、以前貴重品だったが現在はそうでなく、取り扱いに困る物品が出てくることがあります。

よくあるのが以下のような物品かと思います。

  • 使用済みの通帳
  • クスリ
  • 写真
  • お酒
  • パソコン
  • パスポートや運転免許証などの証明書
  • 所有に許認可が必要な物品
  • 自分だけで価値がわからない品物

以下、それぞれご紹介します。

なお、強調したいのは、少なくとも私たち横浜ベスト遺品整理社にとってご遺品はゴミではないということです。

それぞれ保存しておくと記録として役立つ書類、写真だけではなく、買取やリサイクルに回せる物品が大半だからです。

すべてをゴミとして片付けるような業者には注意し、丸投げするのではなくご自身で情報を集めてご自宅を任せても安心だと感じる事業者に依頼しましょう。

使用済みの通帳

相続税申告の際には残高証明書を取り寄せるのが一般的ですが、亡くなった方の通帳は、すぐに処分するのは避けた方が賢明です。破棄するかどうか迷ったら担当する税理士さんなどに相談してからが安心です。

解約後や繰越後で使用済みとなった通帳は過去の預金移動など、資産の流れを把握することができる唯一の記録だからです。

使用済みの通帳を処分しても税務上などで問題ないときは、通帳はシュレッダーにかけるなどして、情報がわからない状態にしてから処分を行いましょう。合わせてキャッシュカードはICチップ部分にハサミを入れて破棄しましょう。

遺品整理業社は溶解処理を行うなどして、安全に個人情報を処分するお手伝いをしています。

なお、故人の銀行口座は一定額以上の引き出し(払い戻し)については遺産保護等の観点から凍結されます。くわしくは「死亡後の口座凍結」をご覧ください。

クスリ

使用済みのクスリは、錠剤や液状のものによって処分方法が異なります。

とてもたくさんの薬が大切に保管されているケースはとても多いです。

製薬会社のウェブサイトには、薬の捨て方について紹介されているので参考にしてみてください。

子どもが拾って服用してしまうことのないよう注意しましょう。

薬の捨て方
※薬を捨てるときは、容器から取り出して廃棄します。
成分がわからない製品については、販売元に成分を確認し、適切な処分方法を取るようにお願いします。

○中身
・顆粒・錠剤・軟膏 ・・・ 紙や封筒に包んで可燃ゴミに出します
・目薬などの液剤 ・・・ 新聞紙や布に吸収させてから可燃ごみに出します。
注)エアゾール剤や噴霧剤の中身を出す時は、火気のない屋外で行ってください。

○容器 ・・・ 薬の容器・包装にはリサイクルマークが表示されているので、「紙」「プラ」のマークに従って分別の上、廃棄します。
※廃棄に際しては、お住まいの自治体の分別・収集に従ってください。

クラシエ「薬を捨てる時には、どのようにすればよいですか、注意する点は何ですか。

なお、当然ですが効果がわからない薬や使用期限が切れた薬は服用してはいけません。

写真

量といえば、写真もお困りごとのひとつです。

ご遺品として残される写真は数千枚におよびます。一戸建てのお宅などになると推定2万枚を超えるケースも経験してきました。

過去には生前整理などの終活では極端な方ですとすべてお焚き上げしてしまうという方もいらっしゃいました。

写真整理のポイントは四季や年ごとに大切な写真を厳選して残しておくこと。

しかし、残す写真を厳選するのは本当に骨の折れる作業です。

こうした写真の取り扱いは、家族の意見をヒアリングした上での写真選別で作る「家族写真集」を作成するなどの方法をご提案しています。

ご遺品や実家の膨大な写真は1冊の家族写真集にまとめられる

お酒

古酒の取り扱いにも注意が必要です。

古酒は種類や保管状況によって取り扱いが異なるでしょう。

未開栓のものは飲める場合も多いと聞きますが、開封されているものは中身が参加してしまったり、アルコールが蒸発して抜けているケースでは、飲まずに破棄するのが良い場合もあります。

飲もうとする場合には、保存状態などを十分に考慮した方が良いでしょう。たとえば日本酒は煮酒に使うなどして上手に飲めるケースもあるかもしれません。

なお、お酒の種類によっては高額での取引が行われているケースも少なくありません。ネットオークションなどを見ながら価格を調べてみるのもひとつの方法でしょう。

スマホやパソコン

今やデジタル機器であるスマホやパソコンは個人情報の巣窟です。

古い機種でも必ず保管しておかれることをオススメいたします。

交友関係だけではなく相続の場面で不明点が発覚した際の有力な手掛かりになるケースが少なくないからです。

ロック解除パスコードなどの問題はあるものの、エンディングノートや手帳からパスワードがわかるケースも少なくありません。

スマホやパソコンは見られたくない情報が残されているケースも少なくありません。

反対にご家族にも目にしたくない情報などはあるかもしれません。

なお、処分の方法については、以下をご覧ください。

壊れていて電源が入らないパソコンやスマホの処分方法

パスポートや運転免許証などの証明書

パスポートや運転免許証、マイナンバーカードや健康保険証など、いざ整理をしてみるとどうしていいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

まとめると、以下のようになります。覚えておかれると役立つこともあるかもしれません。

  • パスポート→亡くなった方のパスポートと戸籍除籍謄本など亡くなったことのわかる書類と共に最寄りの申請窓口に届け出を行います(国外の場合には在外公館)
  • 自動車運転免許証→警察署に返却する。亡くなったことのわかる証明書が必要。
  • マイナンバーカード→市町村の該当する窓口に届け出て返却する。
  • 健康保険証→健康保険に加入している方が亡くなった場合には、加入を止める資格喪失手続きが必要になります。たとえば、国民健康保険の場合、亡くなってから14日以内に国民健康保険資格喪失届を市区町村役場に提出しなくてはなりません。

所有に許認可が必要な物品(刀剣や猟銃など)

日本刀などの刀剣や猟銃などが見つかると、処分方法がわからず困惑してしまう方も多いかと思います。

一般に銃や刀剣を所有する場合には免許や許認可が必要となるため、所有者が亡くなった場合には所持することは認められず、銃刀法に抵触する恐れがあります。

当然ですが、粗大ゴミや一般ゴミとして出すことはできません。

たとえ模造刀のように思えても警察に相談するなどしてしっかりと手続きを行いましょう。

猟銃などの銃が見つかった場合

拳銃・猟銃を相続する場合には50日以内に手続きを行う必要があります。(銃砲刀剣類所持等取締法)

猟銃を処分する場合、購入した鉄砲店などに持ち込むか、警察署に必ず事前連絡を入れ、銃を持ち込むことで廃棄を依頼できます。弾丸については警察署によって廃棄できないケースもあります。

警察署に持ち込む場合、必ず事前連絡が必要な理由は、警察署への道中で職務質問などを受けた場合、罪に問われる可能性があるからです。

銃は相続できても、弾丸は相続できません。鉄砲の玉や火薬類は、他人に譲渡することや廃棄することが法律によって規制されているからです。

廃棄する場合には一般社団法人日本火薬銃砲商組合連合会が主体となって処分のあり方を定めており、団体の認定する販売店で処分を依頼するのが良いでしょう(1発あたり数百円で請け負っていただけます)

刀剣が見つかった場合

日本刀などの刀剣が見つかった場合、真っ先に確認すべきなのが「銃砲刀剣類登録証」の有無です。登録証とも言います。

登録証は公文書で登録記号番号が付され、刀剣の戸籍にあたるものです。

この登録証の有無で相続や売却などの手続きが大きく変わります。

登録証が存在する場合で、刀剣を相続する場合には、「刀剣類所有者変更届」を各都道府県の教育委員会へ20日以内の届出が義務付けられています。届出は都道府県の教育委員会に対して行います。

登録証が存在しない場合(紛失や破損している場合も)には、放置していると銃刀法違反(2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)の罪に問われる可能性があります。今後も所有を考えていて登録証が存在しない場合には、登録証の再交付申請を行うのが良いでしょう。

再交付申請を行う場合には、あらかじめ管轄の警察署に登録証の遺失届を提出の上、受理番号をいただきます。その上で都道府県の教育委員会へ再交付申請をお行います。新サビが設けられており申請書類と該当する日本刀を所定の場所に持参し、鑑定を受けます(神奈川県「銃砲刀剣類登録審査会・各種手続のお知らせ」)

しっかりと登録が行われている日本刀などを処分する場合には、専門店に売却するのも選択肢のひとつでしょう。文化的に価値ある刀剣の場合には、資料館などへの寄贈という選択肢もあるかと思います。

売却や寄贈する場合でも、必ず所有者の変更届を提出してから行動しましょう。

自分だけで価値がわからない品物

ここまでお客様の声を中心にお困りの物品の処置方法について取り上げてきましたが、共通するポイントは自分だけで価値がわからなかったり、処分の判断ができないものという点です。

意外なものに価値があるケースは枚挙にいとまがありません。

塗装が剥がれ、ブランドロゴもなく、すぐに粗大ゴミに捨てたくなるような、みすぼらしい姿になっていたエレキギターが100万円以上の価格で取引が行われた経験もあります。

このエレキギターが、実は1960年台初頭に製造されたマニア垂涎の世界的に貴重なFender社のビンテージギターだったのです。

ものの価値は見る人にしかわからないものなのだと痛感しました。

さらには、ご遺品を自らメルカリやヤフオクに適当な値段で出品して本来の価値よりもずいぶん低い価格で落札されてしまったケースもあります。

1万円で落札された鉄瓶が実は銀瓶で数十万円の価値のあるものだった、贋作だと思っていた美術品が本物だった、古めかしい着物が江戸ちりめんの名品だったなどなど。

自分だけで価値がわからないものは信頼できる専門家の目利きをしっかりと聞いた上で判断するようにしましょう。

あくまでも判断を行うのはご本人やご家族ですが、その判断は正しい価値を知った上でのものでなければならないのではないでしょうか。

まとめ

今回は、使用済みの通帳やお薬、刀剣まで遺品整理で出てくるお困りごとの品々の処置方法についてご紹介しました。

共通するポイントは、心配なことがあれば必ず専門家に判断を委ねてみることです。

専門家から正しい知識を獲得し、その上で要・不要の判断をしていくのが良いでしょう。

とはいえ、専門家にすべてを丸投げしてしまうのも考えものです。

正しい価値を知り、そして正しい処分方法を調べていくことが、後悔のない遺品整理につながるのではないでしょうか。

この記事が遺品整理でお悩みの方の一助となれば幸いです。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。