空き家・ゴミ屋敷 掲載

相続した実家がゴミ屋敷だった時にあなたがやるべき3つのこと

今回は時折ご相談いただく「相続したらゴミ屋敷だった」とき、あなたが行うべきポイントを3つにまとめてご紹介いたします。
相続した実家がゴミ屋敷だった
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実家や兄弟姉妹の家を相続したらゴミ屋敷だった、というケースは、あなたが想像するより多いように感じます。

環境省による平成29年度「ゴミ屋敷」に関する調査報告書によれば、全国の1,741市町村への調査(回答数1,739)で、34%の594の市町村が「ゴミ屋敷」にあたる物件の存在を認知しており、366の市町村で原因を作っている人に対しての指導、179の市町村でパトロールを行なっていると回答しています。

さらに、90の市町村が実際に「ごみの撤去」を行なったと回答していることからも自治体の苦慮が伺えます。平成28年度には横浜市でも90件を超えるゴミ屋敷を確認しており「排出支援」により8件が解消されたとのことでした。

コロナ禍の中ではさらに状況が悪化している可能性も考えられます。

しかしながら、統計に現れるのは近隣の住民に対して影響を与えるほどの重度のゴミ屋敷であるケース。

家の外にはゴミがなくても、扉を開けると室内に陽の光がほとんど入らないほど、ゴミが山積しているというケースは珍しくありません。

今回は、一見すると普通の住宅であるのに、相続した後に実はゴミ屋敷だったと分かった時、あなたがやるべき3手順をまとめてお知らせします。

なお、今回の内容は私たちの経験によってお知らせするものであり、すべての状況パターンを網羅するわけではありません。また、極めて現実的な言及を行なっている箇所もあることをご了承くださいますように、お願いいたします。

いつかは誰かが解決しなければならないゴミ屋敷。

ゴミ屋敷は、いつかは誰かが状況を解決しなくてはなりません。

具体的には専門業者に依頼するか、自分で解決するか、相続放棄するといった3点が考えられるでしょう。

問題なのは「いつかはだれかが解決すべき」ということ。当たり前のことですが、なかなか現実を直視できないこともあるでしょう。

しかし、近隣にご迷惑がかかりそうなケースでは早急な対策が求められるのも事実です。放置することでさらに問題を大きくすべきではありません。

すぐに解決に結びつく簡単な方法は少なく、また想定外の費用がかかる可能性もあります。

とくに、片付けに必要なお金は頭の痛い問題です。

時折ご相談いただく「お金をかけずに解決する方法」ですが、簡単に解決する方は存在しないとお考えいただいた方が良いかもしれません。

場合によっては、ゴミなどもそのままの状態で買い取ってもらえる業者を探すという方もいらっしゃいますが、数カ月で買い手が見つかり売却できるケースは、まれであることに注意しましょう。

以下、課題が多いゴミ屋敷のお片付けについて、より良い判断を行うために、あなたがやっておくべきことを具体的に3つご紹介いたします。

① 放置せず、何よりもまず現状を調査、把握する。

何よりも優先されるべきは、現状把握です。

放置はもっとも避けなければなりません。相続を知ってから3カ月が相続放棄が認められる期間だからです。早急に情報を把握することに努めましょう。

とくに、離れて暮らしていた期間が長く、久々に実家に戻るようなケースでは、あなたが把握している両親の生活イメージと、実際がかけ離れていることも少なくありません。

あるお客様のお話ですが、ご両親が亡くなり、20年ぶりに実家に戻って近所の方にあいさつをしたところ「自分自身が想像しているイメージとはかけ離れたトラブルを起こしているような生活実態に驚き、とても後悔した」とおっしゃっておられました。あなたの想像と異なることは珍しいことではないのかもしれません。

さらに、生活環境によっては借金が存在していたり、未払いの請求が存在している可能性があります。

その反対に、あなたが認識していない資産をお持ちのケースもあります。想像以上の資産をお持ちの場合、相続争いの可能性や、相続税を申告する必要が出てくるなど課題が出てきます。

妥協せず士業などの方の力を借りて調査、情報把握を。

以上のような理由で、全体像を把握せず、断片的な情報だけで、焦って場当たり的な決断することは避けなければなりません。

後悔しないために、楽観視せず士業の方に相談して財産の調査などを行い、現状把握に努めましょう。憶測での行動は避けることを強くオススメいたします。

と同時に、ゴミ屋敷の解決方法も思案しなくてはなりません。

ゴミ屋敷の解決方法は、先にご紹介したように専門業者(遺品整理業者・特殊清掃業者)に依頼するか、ご自身で片付けを行います。

業者に依頼する場合には、相続財産の調査を行なっている間に、私たちのような専門業者に見積もりを依頼しておくと良いでしょう。

② ゴミ屋敷の片付けに必要な費用と期間を算出する。

ゴミ屋敷のお片付けは、足の踏み場もないほどの状況で、腰より上にまで山積しているようなケースでは、数十万円以上かかることが多く、6部屋以上や物量、搬出する経路の長さによって200万円といったケースも十分にあり得ます。

そのため、事前に複数の業者に見積もりを依頼した上で、自分の物件の予算感を把握しておくことはとても重要です。

さらに片付けに必要な期間を把握しておくことも重要です。

ゴミ屋敷は悪臭など近隣へのご迷惑をかけることになりかねません。とくに梅雨時期や夏場は早急な対応が望まれます。

万が一、管理組合や町内会の方から片付けについて質問があった場合に、適切に対処できるように期間を把握しておきましょう。

ご家族で片付けを行う場合には、必要な期間(ゴミ屋敷場合、1カ月以上の期間が必要な可能性もあります)を算出しておくと良いでしょう。

なお、業者に依頼した場合には、物量にもよりますが、数日から1週間程度の期間で作業を完了できるはずです。

財産などの調査に加えて、ゴミ屋敷の片付けに必要な費用と期間をしっかり把握しておきましょう。

ゴミ屋敷の片付け・清掃を業者に依頼した場合の費用や料金相場

ゴミ屋敷の見積りを依頼する業者の選び方にも工夫を。

ゴミ屋敷の見積りを業者に依頼する場合、どの業者に依頼するのかにも注意が必要です。

最近はインターネット広告などで❝積み放題3万円❞と表現し不用品回収やゴミ屋敷の片付けを訴求している業者が多くなっています。

しかしながら、実態は100万円前後の見積りとなり、よく考えずに依頼した結果、高額請求といったトラブルは散見されます。不当な追加料金はもっとも多いトラブルのため、よく確認しておきましょう。

https://www.bestworkers.jp/garbage-room/vendor/

以上、相続した家がゴミ屋敷の可能性がある場合、まずは財産の把握と、ゴミ屋敷の片付けに必要な費用と期間を把握することに努めましょう。

③ 集めた情報から相続するかどうかを判断する。

相続に関する情報と、ゴミ屋敷の片付けについての情報を集めたら、その材料から熟考の上、決断します。

プラスの財産が大きい場合には、片付け費用などを立て替える必要はあっても相続手続きが完了すれば、相続した資産から捻出することができるかもしれません。

財産が負債より多い場合には、すぐに弁護士さんなどを通じて家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任していただき、相続財産の管理を引き継ぐと良いでしょう。

この場合、ゴミ屋敷の管理を相続財産管理人に行っていただけますが、ゴミ屋敷の処理に必要な金額以上の予納金(約数十万円以上になる場合も)を納める必要があり、制約があるのも事実です。

その反対に、プラスの財産に対してマイナスの財産(負債)が多い場合には、相続放棄という選択肢も考えなくてはならなくなります。

そして、相続放棄する場合には、相続財産を手続き完了まで保全、管理する必要があることに注意が必要なのです。

相続した実家がゴミ屋敷で相続放棄を考えるときの注意点

相続人は相続を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申し出ることで、相続放棄できます。

相続放棄には3カ月という期限があることにまず注意しましょう。

相続放棄を行うと、故人の借金を相続する必要がなく、相続税も支払う義務はありません。

一方、当然ながら相続放棄をすれば、残された財産すべてを相続できないため、慎重に判断したいところです。

なお、相続放棄に関連して、ゴミ屋敷の片付けをすると相続放棄ができなくなる可能性があるという記事も散見されます。これは、半分事実ではあるのですが、半分は間違っています。

相続放棄を行う場合、価値のあるものを売却したり持ち去ったりすれば相続とみなされる場合もありますが、ゴミ屋敷などで早急な対応が必要なケースでは、相続前に遺品整理を行なっても問題ないケースがあるからです。

くわしくは、以下の記事をご覧ください。

相続する前に遺品整理をすると相続を承認したことになる?

相続放棄してもゴミ屋敷をあなたが片付ける必要がある=管理責任

誤解されがちなポイントですが、結果として、相続放棄し、借金などを相続しなくて済んだとしても、ゴミ屋敷を片付けなくて良いわけではありません。

相続放棄を行なっても、空き家を含む相続財産の管理責任は残るからです。

たとえば、相続する人がひとりの場合、相続放棄したとしても相続財産を管理する責任が当人に残ります。

そのため、相続放棄をしたとしてもゴミ屋敷の後処理を管理責任の下で行うケースは少なくありません。

相続放棄したとしてもゴミ屋敷を片付ける必要があり、場合によっては数十万円〜100万円程度の出費の可能性があることに注意しておきましょう。

くわしくは、以下の記事でもご紹介しております。

相続放棄をするときは遺品整理で家財を処分しても大丈夫?

焦らずに現状を把握して、熟考の上判断したい。

以上が、相続した実家がゴミ屋敷だった時にあなたがやるべき3つの内容です。

  • 放置せず、何よりもまず現状を調査、把握する。
  • ゴミ屋敷の片付けに必要な費用と期間を算出する。
  • 集めた情報から相続するかどうかを判断する。

以上の流れでゴミ屋敷の解決に向けて取り組むことで、回り道を減らしながら最適解を探し出すことができるかもしれません。

生前からしっかりと準備されている方も10年前に比べると随分と増えてまいりました。実際に、ゴミ屋敷をお片付けされるお子様世代にとっては、親世代の終活はとても重要なことに感じられるのかもしれません。

少しでも納得のできるお片付けとなるよう、私たちも日々お客様と対峙しながらさまざま勉強させていただいております。

この記事がゴミ屋敷を相続する方にとって解決の糸口となれば幸いです。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。