実家の片付けを行う場合に最も心配とおっしゃる方の多い「ご両親との関係性」。
今現在、ご両親との関係が良好だからこそ、いざ片付けに入ろうとすると心配、というお声をいただくことがあります。
今回は、ご両親と喧嘩することなく円満に実感の片付けを行うために、是非知っていただきたい内容をまとめました。
ポイントになるのは、以下のような項目です。
- 自分の価値観を押し付けることの危険性を知る。
- ご実家は、もうあなたの家ではないということを理解しよう。
- 急がずにゆっくりと時間をかけて行おう。
実家の整理を行うことで、多くの恩恵を受けることができます。
まず、実家の整理を行うことで得られる想像以上に多くのメリットをご紹介します。
- 安全かつ清潔に暮らせる。
転倒による事故を防ぐことができる - 家族全員がモノの持ち方について考えるきっかけとなる。
モノに対する認識を改めて、散らかりにくいお家を作ることができる - 何がどこにあるのかがわかる
いざという時に、当事者以外に場所がわかるようになる。 - 不測の事態に備えることができる
実家売却の際に受け渡しができない・両親の些細な変化を見逃さなくなる。 - 片付いたスペースを自由に使うことができる
広い空間でお孫さんが遊べるようになる。
メリットの中で、特に注目したいのが「安全に暮らせること」と「不測の事態に備えること」の2つです。
まず、安全に暮らせることを意識するためのお部屋の片付けはとても重要です。
消費者庁のニュースリリース「御注意ください!日常生活での高齢者の転倒・転落!」によれば、高齢者の介護が必要となった原因の12.5%が骨折や転倒によるもので、救急搬送者の数は、年齢・年代が上がるごとに搬送者数が増加しています。
転倒・転落事故は、高齢者の日常生活で発生し、死に至る恐れがあるだけではなく、後遺症を残す可能性もあるため、リスクを減らすことが重要なのです。
次に、不測の事態に備えることについてですが、例えば「実家を売る」と決め、売却の値段が確定し、買主が見つかったとしましょう。
契約も住んであとは実家を引き渡すだけ…となった矢先、部屋の片付けが終わらず引き渡しができない、というケースがあったりします。
契約時には「引き渡しできない時には手付金の●倍のお金を支払う」などと書いてあるなどして、大きなトラブルに発展してしまうこともあるのです。
実家の片付けは、メリットを享受するだけではなく、リスクに対処する側面もあるのです。
誰でも歳を取る。
自分の価値観を押し付けることの危険性
当たり前のことではありますが、誰だって歳を取り、老いていきます。
受け入れがたい事実ではありますが、これは変えようのない事実であり、これを受け入れることも重要なことではないでしょうか。
例えば、今まで年賀状を手書きで書いていた両親が、印刷された年賀状を用意したり、体力がなくなり、片付けることができずに、部屋にものが散乱してしまっている、といったことが発生しやすくなります。
ご両親は、自分はまだできると考えていても体がついていかない、という葛藤を感じているのだということを意識しなくてはいけません。
社会に出て、自分自身の力で切り開いてきた経験や知識からイライラが募り、どうしてもご両親に上から目線でモノを言ってしまうことはあるでしょう。そのお気持ちはとてもよく分かります。
しかし、ご両親がそういった考えを受け入れられない場合には、そこに理由があることも考えておかなくてはいけません。
なぜなら、実家はもはや、あなたの実家ではなく、両親の家だからです。
特に、ご両親がお片づけに拒否反応を示される場合や、話題に出すと機嫌が悪くなってしまわれるようなときは、以上のような考え方はとても重要かもしれません。体力の問題で片付けられない、と言うことは非常によくあることです。
実家は「他人の家」である。
もうあなたの家ではないということを理解する。
自分の過ごしてきた実家という意識が先行するあまり、主導権を自分が握って実家の整理をしようと考えておられる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、それはお勧めできないと言わざるを得ません。
確かに、部屋は早く片付くかもしれませんが、ご両親と円満どころか、かえって喧嘩となってしまいます。
ご実家は、ご両親の住む家であり、いわば他人の家だからです。
ですから、無理に子供が親に向かって「やれ捨てろ」「やれこれは必要ない」と言うことは、他人の家で同じようなことをしていることと同じだと、ご両親には捉えられてしまうかもしれないのです。
ご両親と子供世代では、物に対しての考え方が大きく異なります。
そのため、ご両親の世代は、捨てることへのハードルがとても高いと言えます。
こうした認識の違いを、意識しておくことが喧嘩を防ぐ考え方の一つです。
ご両親に片付けを意識してもらいたいときは…
急がずにゆっくりと時間をかけて
ここまで書いてきた内容は確かにその通りだけれど、現実として家を片付けなくてはいけないといったケースも多いことでしょう。
次に、ご両親の年齢や体力を考え、円満に実家の整理を行う方法についてお伝えします。
ポイントは「捨てると言わないこと」と「ご両親の気持ちを理解する」ことです。
言ってはいけない「捨てる」という言葉
実家の整理で言ってはいけない言葉の一つに「捨てる」という言葉があります。
捨てるという言葉は、もう必要ないものを「投げ捨てる」ようなイメージになってしまい、同意を得ることが難しくなります。
また、単純に自分のものを「捨て」られるという表現はあまり気持ちの良いものではありませんよね。
「捨てる」と言わずに「手放す」というように、物に対しての敬意を表した表現にすべきです。
優柔不断なのには、理由がある。
ご両親が捨てるか捨てないかについて、朝令暮改の如く意見がコロコロ変わってしまうこともあるでしょう。
さっきは捨てると言っていたのに、少し時間が経つと「なぜこれを捨てるの」と不機嫌になってしまうこともあると思います。
こうした態度を優柔不断という言葉で片付けるのは簡単なことですが、どんどんとものが少なくなっていくことに対して不安を感じている、と言った理由なのかもしれません。
とにかく時間をかけてゆっくり少しずつ進めていくことで、ご両親と円満にお片づけを進めていくことができることでしょう。
子供である自分が、「自分の物を片付ける・もらって帰る」
最も両親の同意を得やすく、負担なく作業を進めることができるのが、ご実家にある自分のものを片付ける、ご両親の不要なものをもらって帰るという方法です。
ご実家に住んでいた時の物(本・教科書や洋服など)がまだ残されているという方は意外と多いのではないでしょうか。
こうしたものは、自分のための物である可能性が高いわけですから、率先して片付けても問題ないと言えそうです。
自分のものを片付ける承諾を得て、片付けが終わった後、そこにスペースができれば、そこを新たな用途で利用することができるようになります。
加えて、ご両親が不要になったものをもらって帰るのも一つの方法です。
あまり高価なものは難しいかもしれませんが、例えば、幾つもある目覚まし時計を「これ使わなかったらもらってもいい?」と少しずつもらってあげても良いのかもしれません。
大切なのは、ご両親の理解を得て、ものを減らしていくプロセスにあります。
ご自宅が片付くのはやっぱり気持ちがいい
こうして、実際に物が少しずつでも減っていけば、やっぱり「気持ち良い」と感じていただけることでしょう。
「部屋が綺麗になったから、運気が良くなるかもしれない」とか「神様・仏様も綺麗なお家に住みたいでしょう」というような前向きな言葉をそっと投げかけてあげるだけでも結果は変わってくるかもしれません。
ご自宅が片付いたら、冒頭に挙げたメリットをご両親にも感じていただけるわけですから、喧嘩もなく円満に、むしろ協力的に実家の整理を進めることができるのではないでしょうか。
まとめ
遺品整理者がこのような記事を書いている意味
今回は、私たちの日々の経験から、ご家族の一人として、あなたがご実家の整理を行う際に大切な3つの考え方をご紹介しました。
私たちは遺品整理企業として活動していますが「遺品整理」という言葉には語弊があるように感じています。
遺品整理の本質は「お部屋のお片づけ」だからです。
実は亡くなった後の実家の整理というのは、想像以上に大変です。
お部屋のお片づけや断捨離と捉えて、実家の整理を行うということは、少しずつ進めていく上で、とても有効な方法の一つとなることでしょう。
親と子供の認識や見方の違いが喧嘩の原因となることをお伝えしました。
手前味噌になりますが、私たちにご依頼いただくことで、こうした認識の違いを埋めつつ、私たちが緩衝材になって、ご実家の整理を進めていただくことができるように日々、努めております。
お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。