今回は、ご家族やご親族の遺品整理やご実家の片付けの現場で3回に1回は必ずお問い合わせのある「洋服の処分」についてご紹介します。
遺品整理をご検討のお客様から、しばしば「遺品整理を自分でやろうと思ったが時間がかかりすぎる」とか「とにかく大変そう」といったご相談をいただきます。
それもそのはずで、遺品整理をご自身で行う場合には膨大な時間が必要となることが少なくありません。要不要を判断し、物品を仕分けるだけでも多くの労力と時間が必要となるのです。
その中でも「衣服」については、頭を悩ませていらっしゃる方が少なくありません。
業者に依頼をする場合も、ご自身で遺品整理をお考えの方も、一度は頭を抱えることになる「衣類」の処分方法について詳しくお伝えします。
衣類の遺品整理は「分類し→処分するもの」が多数となる。
最初に結論として、衣類は、その処遇がある程度限られてきます。
すなわち、洋服の仕分け・分類を行った後に必要最低限の品を残して処分するという方向性になってしまうことを受け入れなくてはいけません。
さらに、遺品整理においては、ご家族が不要と判断された洋服はリサイクルや一般ごみとして廃棄処分になることが一般的です。
もちろん、故人様の衣服を全て廃棄処分する訳ではありませんが、処分せざるを得ないケースが多いことも受け止めなくてはなりません。この点はご自身とご家族でよく考えられた方が良いでしょう。
以降は、より具体的に遺品整理の際の衣類の分類と処分についてや、処分せずに活用する方法などについてお知らせします。
遺品整理で衣類を分類する前に、これだけは知っていただきたいこと。
遺品整理での衣類を分類する前にやっておいた方が良いことは、以下のような内容です。
まずはじめに、以下の内容を確認しましょう。
遺言書やエンディングノートが存在するかどうかを確かめる。
大前提として、相続手続きを経て、遺言書やエンディング・ノートの存在が明らかになっている場合には、故人様のご意向に沿って衣類などの処遇を決めましょう。
特に着物やスーツなど大切な形見の品になるもの、思い出深いものについては、遺言書やエンディング・ノートに言及されている場合もありますので、細心の注意を払いましょう。
故人様の持ち物である洋服について、ご家族や誰か1人の個人の判断を優先すべきではありません。
家族や親族とよく相談しよう。
当記事をお読みの方の中には、葬儀を控えて衣類についての課題をお持ちの方もいらっしゃると思います。
葬儀の際にお好きだった一張羅を着せてあげるなど、ご意向もあるのではないでしょうか。
勝手に分別を済ませてしまったり、あとで後悔することのないように、よく話し合いましょう。
衣類の形見分けについて
葬儀後の四十九日にちを目途に、衣類の形見分けを行う場合もあるかと思います。
故人様のまだ着られる着物を、親族や近隣住民に形見分けする風習は江戸時代の文献で紹介されています。
最近は時代背景が異なりましたが、やはり、思い出とともに、ご遺品として大切に保管するために、非常に重要な方法の一つです。
衣類の中に新品で未使用のものが残っている場合に、ご親族に譲るということもできるでしょう。
スマホで写真を撮ってアルバムにしておくのがオススメ。
遺品整理の物品の中で量が多くなるのが衣類の特徴です。
そのため、同居する家族の衣類が混じって分別の際に誤って処分されるといった事故を防ぐため、写真の撮影をお勧めしています。
きちんと広げて商品写真のように一枚一枚を撮影していくことをしなくても構いません。
わかる範囲で撮影しておくことで、安心を得ることができます。
さらに、撮影した写真をアルバムにまとめてをシェアしたり、メールやLINEなどで共有することができれば、遠方の家族に対して形見分けの際に簡単に確認していただけます。(インターネット上に個人情報が流出しないように、シェアの方法は、個人メールを利用するなど処理にご注意ください)
また、スペースの都合から、捨てることになる洋服も、写真を撮影しておくことによって、ご家族のアルバムを見たとき「この時着ていた服だね」というように見ることができるため、精神的な満足度が随分違ってきます。
売ったり、捨てるだけではない。有効活用する方法があることを知ろう。
衣類は、時代に合わずにご家族で着ることができなかったとしても、昨今では様々なサービスが提供されているので、有効活用することができます。
例えば着物については、パッチワークの柄として利用したり、仕立て直しや洗い張りをして再度身につけることができます。事実、母親の着物を身につけて、和装に目覚めたという方もいらっしゃいます。
さらに、1960年代には、現在の2.5倍以上の価値のあったスーツやジャケットは中々捨てられないものではないでしょうか。
以前に「大切な両親のスーツは自分ぴったりに仕立て直して着られる。」でご紹介したように、スーツを仕立て直して身につけることができます。この取り組みは大変好評です。
加えて、故人様の身につけていた大切な衣類から、ぬいぐるみを作ったり、手芸に利用したりといったことをされる方もいらっしゃいます。
売ったり、捨てるだけではなく有効活用する方法があることは、大切な思いを引き継ぐことにもなります。
次に具体的な衣類の分類方法について見ていきます。
遺品整理の際の衣類の分類について
遺品整理の際に衣類を分類する場合には、ご家族やご親族の確認の上で、必要・不要・保留の3つに分類して作業を進めていきます。
必要・不要・保留の3分割の方法は、ご自宅のお片づけなどにも活用できる考え方です。詳しくは「物を捨てる基準を3つに変えると整理はとても簡単になる。」も是非ご覧ください。
- 必要=残しておくべき衣類
形見分けや売却の予定があるものや、親族や家族で有効利用できそうなもの。 - 保留=一旦残して判断を留保する衣類
特に時間が限られている場合には、処分を留保して後でゆっくり判断する方法を取ることも有効です。 - 不要=捨てる衣類
思い出の品ではなく、劣化・破れがあったり、汚れが残ってしまいもう着られないもの
以上の方法で判断をしていくことによって時間を短縮しながら、衣類の仕分けが可能になります。
特に、保留の物品は、判断を先延ばしできるため、形見分けを経て、時間が経ち、気持ちの折り合いがついた頃からゆっくりと判断することでき、先にご紹介したスーツや着物のような利用方法も検討できるため、迷った場合には保留にしておくと安心です。
仕分けが終わったら、その後洋服の具体的な処分方法を検討します。
不要となった洋服を処分するには
先にご紹介した分類・仕分けによって「不要」となった洋服は、処分の対象として手放すことになります。
処分方法としては以下のような方法が考えられます。
- 一般ごみ(資源回収)として出す(時間が限られている場合)
資源ごみの「古布」として回収を行なっている自治体が一般的です。資源集団回収を行なっていない地域の場合には、古着として自治体の定める窓口で回収してもらうこともできます。
※詳しくは地方自治体のHPなどでご確認ください。 - リサイクルショップ・店舗の回収ボックス・寄付(やや時間に余裕がある場合)
- フリマアプリに出品(時間に余裕がある場合)
フリマアプリやリサイクルショップに持ち込む際の注意事項
全ての衣類をまとめて出品するのは現実的ではありません。
フリマアプリやリサイクルショップに持ち込む場合には、人気ブランド品や高価な素材の洋服(バッグや靴も)であれば、買い手が見つかり、落札される可能性もあります。
しかしながら、ほぼ大半の衣類が売れ残ってしまう場合も少なくありません。
さらに、一品ずつ写真を撮影して発送作業を行うという作業はまとまった時間が長期間にわたって必要です。
また、リサイクルショップに持っていく場合には、重量で買取を行ってくれるのか、それとも1枚1枚を査定していくのか、といったお店の仕組みを詳しく調べておきましょう。
寄付を行う場合の注意事項
寄付を行う場合には、寄付する先の団体としてどのような団体があるのかを事前に調べておきましょう。
以下のようなポイントをチェックしましょう。
- 運営会社や代表名、住所などの責任の所在がきちんと記載されている
- 寄付の実績や内容が公表されているかどうか。
以上の点は、十分に注意しましょう。
不要となった衣類はリサイクルに協力できる。
着なくなった洋服は、正しく分別することでリサイクルを行うことができることをご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。
衣類(古布)は、燃えるゴミではなくリサイクルできるようにすれば、工業用のウエスや軍手などの綿製品などに生まれ変わりますので、是非協力したいところです。
当社では処分対象の衣類は全てリサイクル品として処理することができます。
最近は、大手販売店でリサイクル用の洋服を入れることのできる「回収ボックス」が設置されている店舗も増えています。こうした回収ボックスを利用するのも一つの方法です。(利用する際には、内容をよくご確認ください)
衣類も供養できる。
当社では、遺品整理に際して「ご遺品のご供養」を行なっています。
どうしても有効利用できなくて、手放さなければならない衣類については、ご供養を検討するのも一つの方法です。
ご供養といえば、人形やぬいぐるみ、仏壇をイメージされる方もいらっしゃるかと思いますが、形見の品の衣類も供養することができます。
当社の場合には、ご供養の品を箱でお預かりして、無宗教によるご供養を行い、完了後にご供養の証明をお渡ししています。
遺品整理の衣類は、しっかりと分別して有効利用の検討をしてみよう。
今回は、遺品整理における衣類の処遇についてご紹介しました。
形見分けや仕分けを行うと、残しておくべきものが限られてきます。
やはり、買ったばかりの品や現代でも価値のある洋服は少なく、処分する衣類が多くなってしまうことでしょう。
処分する衣類の中で、捨てるわけではなく、また別の品に生まれ変わるリサイクルなど有効な利用方法を考えながら、処分を進めるのが、比較的気持ちの折り合いもつきやすいことから、おすすめできます。
ポイントとしては、無理に売ろうなどと現金化にこだわったりしない、といったところになるでしょうか。
フリマアプリなどに出品しても値段がつかず、最終的には時間と労力を消費してしまうことになりかねません。
形見分けや必要あるいは保留にするものが決まった段階で、リサイクルを意識した処分方法を行うのが一般的で良い方法なのかもしれません。
しかしながら、遺品整理には「これが正解」という答えはありません。
後悔することのない遺品整理を進めるために、家族や親族で話し合いながら作業を進めていきましょう。
遺品整理業者では、これまでの知見から、衣類も含めて丸ごと判断を行うことができるので、業者に任せるのも一つの方法でしょう。業者であれば、リサイクルとして買取の対象となるケースがあります。
また第三者の介入により、衣類の分別についてご家族に新たな視点を提示してくれることもあるでしょう。
この記事が、遺品整理のシーンで衣類でお悩みの方への一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。