2019年10月12日に関東を通過した台風19号は大きな爪痕を残していきました。
また同年9月5日台風15号により千葉県を中心として大きな被害となりました。
日頃から住宅のお片づけを中心として活動している当社の知見から、ご紹介できるものがあればと思い、今回は豪雨災害に備えるための方法の一部として、見ていただきたい情報をまとめました。
過去災害で被害に遭われた方が、1日も早く笑顔で生活できるようになることを祈っております。
平成には20件以上の豪雨災害が起きている。
今回の台風は、関東地方を襲ったということでメディアによって声高に警戒が呼び掛けられたわけですが、そもそも過去には、台風や豪雨によって多くの地方が被害を受けています。
台風や線状降水帯と呼ばれる発達した雨雲によるものも含め、平成になってからも20件以上の豪雨災害が起こっているのです(気象庁が命名したものを含む日本国政府の災害対策本部が設置されたものを基準に選出。)
- 平成5年8月 豪雨
- 平成7年7月11日 7.11水害
- 平成10年8月 新潟豪雨
- 平成11年6月29日 6.29豪雨災害
- 平成11年6月 豪雨
- 平成12年9月 東海豪雨
- 平成16年7月 新潟・福島豪雨
- 平成16年7月 福井豪雨
- 平成18年7月 豪雨
- 平成20年8月末 豪雨
- 平成21年7月 中国・九州北部豪雨
- 平成22年7月 庄原豪雨
- 平成22年 奄美豪雨
- 平成23年7月 新潟・福島豪雨
- 平成24年4月2日 低気圧による豪雨
- 平成24年 梅雨前線豪雨
- 平成24年7月 九州北部豪雨
- 平成25年7月28日 島根県と山口県の大雨
- 平成26年8月 豪雨
- 平成27年9月 関東・東北豪雨
- 平成29年7月 九州北部豪雨
- 平成30年7月 豪雨
- 令和元年8月 九州北部豪雨
直近では平成最悪の水害と呼ばれ、九州から中部地方にかけて死者220名を出した2018年(平成30年7月豪雨)などが記憶に新しいかと思います。
国の予測や取り組み
国土交通省をはじめとした国は、こうした災害の事例から多くの知見を獲得し、災害に対しての手段を講じています。こうしたことはあまり報道されません。例えば平成29年8月に国土交通省が刊行した「浸水被害防止に向けた 取組事例集 ~社会経済被害の最小化の実現に向けて~」では、過去の大災害が社会に与えた影響を考慮し、最悪の事態の想定と共有をした上で、水害対策に取り組むための方策を提案しています。
この中の一部「東京の浸水想定・被害想定の概要」で、今回の台風19号にも有効かもしれないという想定を出しています。
こうした想定の確率は1千~5千年に1度とされています(東京都が発表した高潮の浸水被害想定)。この想定が、合っているのか間違っているのかではなく、こうした指摘を受け止めて、どのように生かしていくのかという視点が重要だと感じます。
こうした資料に軽く目を通すだけでも、何か思いつくところがあるかもしれません。
さらには、未曾有の大災害となった東日本大震災のその後は追跡した上で報道されたりするものの、水害を受けた被災地のその後にスポットが当てられないことも多いかと思います。
そこで、水害の後は、いったいどのような状況となるのか、調べてみました。
そもそも降水量とは何か
バケツをひっくり返したような、などと形容される豪雨。
その判断の基準となる雨量は「ミリ」で表現されています。1時間に50ミリ以上の大雨、と言われてもピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも降水量とは、どのように計測されているのでしょうか。
気象庁によれば、
降水量とは何ですか? 降水量を「ミリ」で表すのはなぜですか?
降水量は、降った雨がどこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の水の深さで、mm(ミリメートル)で表しています。例えば、「1時間で100ミリの降水量」は降った雨がそのままたまった場合、1時間で雨が水深10cmとなるということです。1平方メートルに100ミリの雨が降った場合、水の量は100リットル(重さにして約100kg)になります。
気象庁「よくある質問集」
どこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の水の深さが100ミリ=10センチだった場合、その水が一気に河川に流れ込んだら氾濫の危険があるかもしれない、と予測を立てることが可能になるでしょう。
アメダスの詳しい仕組みは「アメダスの仕組み」がわかりやすいです。
浸水が引くまでの時間:水が引くまでには10日程度。
洪水で水が引くまでの時間に触れられることは少ないです。
実際に浸水した場合に、浸水した水がなくなるまでどれだけの時間がかかるのでしょうか。
日本経済新聞「「スーパー台風」高潮で東京23区の3割浸水 都が想定
一週間以上水が引かない地域も」2018/3/30 17:02
東京都が2018年3月30日に過去最大規模の台風が上陸して高潮が発生した場合に想定される浸水区域を発表しました(上図)
浸水継続時間(浸水深が50㎝になってから50㎝を下回るまでの時間)は、0時間〜1週間以上と大きな開きがあることがわかります。このデータは台風による高潮での浸水被害の想定です。
実際に豪雨での反乱では、水が引くまでどのくらいの時間がかかったのでしょうか。
2015年9月9日〜11日にかけて関東〜東北地方で起きた豪雨災害である「平成27年9月関東・東北豪雨」の鬼怒川の決壊に関する資料を国土交通省のウェブサイトで発見しました。
- 堤防決壊の当日(9月10日)から排水開始。全国の地方整備局の応援により、日最大51台のポンプ車を投入。約780万m³(東京ドーム約6杯分)を排水。
- 10日間(9月19日)で宅地及び公共施設等の浸水が概ね解消。
国土交通省「平成27年9月 鬼怒川決壊の概要」7頁
鬼怒川の堤防決壊では、東京ドーム6杯分の水を51台のポンプ車で10日間かかって排水したのです。
多量の水を排水するには、とても多くの時間を必要とすることがわかります。
排水作業が終わったのちには乾燥作業と消毒が必要
洪水後の住居の一番の問題点は、長時間水に浸かってしまったため、電気ショートによる火花が断熱材に引火し火災になったり、カビが大量に発生するリスクです。床下の作業を行える環境を整え、とにかく排水作業を行うしかありません。
排水が終わると、今度は扇風機を利用してとにかく乾燥させます。乾燥には最低でも10日はかかるため、一旦豪雨被害を受けると、先の例のように排水に10日間、乾燥に10日間程度と、1ヶ月近くの時間がかかってしまいます。
この乾燥作業が完了したのちは、住宅の修繕やリフォームを行なったりするわけですが、継続して暮らしていくには消毒の作業も欠かせません。
なぜなら、浸水した家屋には下水などが混ざり雑菌が大量繁殖しているからです。
そこで、消石灰等を用いた消毒を行います。
そのほかにも家屋の破損や基礎に問題はないかどうかといった点も含め、専門の業者による診断と作業が必要になります。
火災保険や国や地方自治体からの支援を活用して、災害を克服していきましょう。
これらの作業は、地道な作業ですが、住居を回復させるために必要な作業です。一つ一つを着実に行なっていくことで、災害に対する気概を持って作業にあたっていただきたいと思います。
情報獲得のインフラとして重要な位置を占めるスマートフォン
ここまで述べてきた内容は、当社の知見とインターネットの情報を含めたものです。
一昔前とは代わり、現在は自治体や政府が発表する一次情報(元の情報)に手軽にアクセスできるようになりました。
2019年の台風19号の際に「城山ダム緊急放流」の予定について「【台風19号関連】城山ダム緊急放流予定について~神奈川県知事からのビデオメッセージ~」というYouTube動画が公開されました。
このような情報源が明確かつ、一定の信頼できる情報に触れることは、自分や大切な人を守るためにとても重要です。
災害時に停電などが起こると、家庭用の有線からWi-Fi接続を行なっているルーターなどは機能しなくなるため、被災後や避難時などには、スマートフォンがとても重要な通信手段となってきます。
このスマートフォンの電源確保は、今やライフラインとも呼べる存在になってきているのです。
防災用の電源確保には、水や尿を使って充電できるマグネシウム空気電池が良いかもしれない
こうした場合、水を入れるだけで充電が可能な「マグネシウム空気電池」が良いとされ日本消防設備安全センターが推進しています。
最長で10年間動作が可能で、水を入れると最大5日間作動し、USBで5V1.2Aを供給、スマートフォンであれば20〜30回の充電が可能な空気電池。
値段は15,000〜20,000円で販売されています。
発電に必要な液体は、水道水の他、海水、尿、炭酸飲料水などでも発電可能なことは、断水時でも有効に活躍してくれそうです。
代表的なマグネシウム空気電池:「MgBOX」古河電池株式会社
備えあれば憂いなし
世の中には答えのない問題があふれています。しかし、何らかの結果には、何らかの原因となるものが考えられるのもまた事実です。
こうした豪雨災害や地震災害に備えることによって、自分や大切な人を守れるようにしていきたいと、私たちも考えを新たにする出来事でした。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。