実家・自宅のお片づけ 掲載

実家が空き家に?セカンドハウス・売却・相続放棄など選択肢別ガイド

空き家の増加が深刻な社会問題となっています。相続放棄を決断したある女性の方にお話を伺うと、近隣住民との関係性がポイントになったそう。セカンドハウスや賃貸利用など、悩ましい実家のその後を考えてみます。
日本家屋
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空き家の増加が止まりません。

総務省統計局により2019年(平成31年)4月26日に発表された「平成30年住宅・土地統計調査」の概数で、全国の空き家数が前回調査より約26万戸も多い846万戸と発表されました。過去最高の数値です。

内訳として目立つのが、木造の戸建。188,500戸増加して、2,388,400戸となりました。さらには、複数の権利が生じて解決まで十数年の期間が必要な、いわゆる「長屋」も1割増加し、657,100戸に。

空き家の増加は、深刻な社会問題となってきています。

 

そして、この空き家の増加と同様に、皆さんの頭を悩ますのが実家を売却するのか相続放棄するのか、といった実家の整理についての問題です。

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悩ましい実家の「その後」に結論を出した女性の例

神奈川県横浜市の古くからある住宅街。相鉄沿線の閑静な住宅地に実家を持つ50歳代の女性が、この実家の問題に結論を出した経緯をお話してくださいました。

2018年SUUMOがインターネットを利用して調査した「関東住みたい街ランキング」で、2位恵比寿、3位吉祥寺、4位品川と名だたる東京都の住みたい街上位を抑えて1位となった横浜。

この女性の実家は、6部屋の戸建2階建て。2019年11月30日から相鉄西谷駅〜羽沢横浜国大が開通し、武蔵小杉〜大崎を経由し大宮方面に相互直通となる相鉄線沿いであることを考えると、ますます賃貸でも利用価値があるように思えます。

建て替えや賃貸利用はもちろん考えた。けれど…

お話してくださった女性は、結婚後両親と離れて足立区で生活をしていました。

ご両親がご高齢となり、2018年に老人ホームへの入所することとなり、実家についてどうするのか、という問題が「突然」涌いたとのことでした。

両親がきちんとお金を管理し、介護費用などについての目処がたち、この女性が真っ先に家族で相談したのが「建て替え」。セカンドハウスとしたり、現在ご自身が住む北千住の戸建(4LDK)を賃貸利用しようかとも考えたと言います。

「結婚当時は、30代でローンを組み65歳で完済する予定を組んで買うのが一般的だったように思います。実家は実家でなんとかするのだろう、くらいにしか思ってなかった。私は兄弟が居ないので、いざ残ったら『どうしよう』『わからない』ってことしかありませんでした」

実家のことなどは、あまり目を向けていなかった、けれど一人娘である女性が相続するにはどうしたらいいのか本当に悩んだ、とお話されていました。

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近隣住民との関係性が心配

この女性の一番の懸念であり、売却を決意した理由は、近隣住民との関係性だったとのこと。

「両親のところへ週に一度訪問しながら、家事をしてましたが…」

この近隣に住む一人の方が、庭木の伸びる枝葉についての指摘、ゴミ出しの時間の遅さや量について、頻繁に意見を訴えてきたと言います。お話を聞く限り感じるのは言い掛かりにも近い内容であること。(高さ2mの塀から少しだけ歩道に出た樹木が放火や怪我の対象になると言われたこともあるそうです)実家暮らしの時には、気にしたこともなく、このようなトラブルはなかった、とのことでした。

結局、賃貸や土地活用を考えたとしても、この近隣住民との関係性に辟易とした女性は、売却を決意します。

もちろん、不動産業者の方には、近隣住民の方の件について詳しく説明したとのことでしたが簡単にはいかなかったと、少し疲れた表情でお話されていました。

「売却の際のネックがこんなところにあるなんて、思いもしなかった」という趣旨の発言をされていましたが、まったく同感です。

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時代の変容とともに変わる不動産、モノへの価値

2019年8月15日は、74回目の終戦記念日。戦後、高度経済成長から東日本大地震まで、さまざまな局面を経験してきました。

時代の変容は、超高齢社会という問題と合わせて、家族の関係性まで及んでいるように感じます。いざという時に家があれば良いという両親の判断はとても有難く尊いものですが、現在では不動産は決して富の象徴ではなくなりました。この事実を受け入れて話ができるご家庭はとても少ないはず。言い過ぎのような気もしますが、親は「残した」と思い、子は「残された」と思うのかもしれません。インターネット上では、こうしたことを揶揄して「負」動産などと言われていたりします。

現在は、タイムズのシェアカーや、エアークローゼットの洋服のレンタルのように「借りる」ということに対しての抵抗よりも「所有する」ということに対しての抵抗感が増している人が増えているのかもしれません。

これは、良い悪いという単純な価値の比較で決まるものではないので、とても難しいことだと思います。

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抜本的な解決策はないと受け入れることが大切

この女性が、同じ悩みを抱える人に対して伝えることは何か、伺いました。

その答えが、とても印象的でしたので、ぜひご紹介させてください。

「ベストの選択肢がある人は、幸運です。私のようにベストの選択肢がある例は少ない。ベターを掴みにいく判断を繰り返して、消去法で時間をかけて考えるしかない」と教えてくれました。

考えてみれば当然のことですし、反感や反論をお感じになる方もいらっしゃるかと思いますが、実際に経験された方のご意見は、相応の説得力があります。

更地にした場合の固定資産税の問題や、地方での売却が難しいこと等、家の売却は難しい問題だらけです。

こうした中で、方法について時間をかけて家族と話し、少し問題を客観視することができれば、たとえば自治体やNPO法人などに住居を寄付したり土地を駐車場として利用するために寄付をするということも選択肢の中に入ってくるでしょう。

多くの選択肢の中から、家族で一番「ベター」な解決策を消去法で見つけ出すという、一見遠回りで面倒だと思える方法が、実は一番の近道なのかもしれません。

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